知名度がないと、曲を聴いてもらえない。
ボカロ曲を投稿したことがある人なら、一度はこの壁にぶつかったことがあると思います。
チャンネル登録者がいない、フォロワーがいない、過去に伸びた曲もない。
だから新曲を出しても再生数が伸びない、という悪循環です。
しかし、その前提がまるごと関係なくなる祭りがあります。
それが無色透名祭です。
無色透名祭とは何か
無色透名祭は、ニコニコ動画で開催されているボカロ曲の匿名投稿イベントです。

制作した曲は、自分の名前ではなく「無色透名祭」の公式アカウントから投稿されます。
タイトルに書けるのは曲名とボーカル(使用した音声合成ソフト名)だけで、ボカロP名も制作者名もグループ名も一切載せられません。
イベントが終わるまでは、自分がどの曲を投稿したのかを明かさないよう求められます。
誰が作ったか分からない状態で、曲だけが並ぶという仕組みです。
ジャンルの制限もありません。
普段作らないジャンルで出してもいいし、自分らしさを消して勝負してもいい。
そこは完全に自由です。
なぜ初心者ほど有利なのか
理由は大きく4つあると思っています。
① 匿名だから、有名Pも初心者も同じ土俵
名前が隠れるということは、知名度がある人ほど、その知名度を使えなくなるということでもあります。
普段なら「あの人の新曲だ」というだけで再生される曲も、無色透名祭では純粋に曲の中身だけで判断されます。
有名Pほど不利になり、初心者ほど差が縮まる珍しい場です。
ただ、やはり有名な人は、作り方が同じだったり雰囲気があるため、その人の雰囲気を醸し出せます。
そのため、本人が特定されることもあります。
② ランダム再生タイムで、露出が平らにされる
無色透名祭には「ランダム再生タイム」という時間帯があり、この間は専用サイトのランダムボタン経由でしか曲を聴けません。
これは新しい試みですね。
再生数が多い曲から優先的に流れる、というアルゴリズムが働かない設計です。
だから、すでに再生数がある曲もこれから聴かれる曲も、同じ確率で誰かのランダム再生に載ります。
普段のニコニコ動画やYouTubeのように「すでに伸びている曲がさらに伸びる」という単純な構造にならないのが、この祭りの一番の特徴だと思います。
と言っても、やはりいい曲は伸びます。
③ MVがほぼ要らない。映像制限が逆に優しい
無色透名祭には、MVに関する細かいルールがあります。

背景は白のみ、文字は黒のみで色を変えることもできず、キネティックタイポグラフィ(文字が動くアニメーション)も禁止。
使えるフォントも指定の6種類だけです。
つまり、凝ったMVを作る余地がほぼありません。
普段イラストレーターに依頼したり、映像ソフトと格闘したりしている工程がまるごと不要になります。
これは初心者にとって大きいです。
曲を作る力だけに集中すればよくて、映像制作という別のスキル・別のコストで差をつけられないからです。
たまに目立つために違反している人がいますが、あまり良くないので私は避けたほうがいいと思っております。
④ ジャンルが自由だから、実験できる
匿名なので、普段のキャラクターや作風を気にせず、思い切ったジャンルに挑戦できます。
いつもと違うことをやって外しても、それは「無色透名祭に出した無名の1曲」で終わります。
自分の名前がついたチャンネルの実績には残りません。
失敗のコストが実質ゼロに近い、というのは地味に大きいメリットだと思います。
実例:無色透名祭発の曲がミリオンに達している
「匿名で埋もれるだけでは」と思うかもしれませんが、実際に大きく伸びた例があります。
ルシノさんの「ループザルーム feat. 初音ミク」は、2025年11月開催の無色透名祭3への投稿曲でした。
その後2025年12月にルシノさん本人がYouTubeで公開し直し、2026年4月にミリオン再生を達成しています。
匿名の祭りで生まれた曲が、名前を明かした後にここまで伸びる。
知名度に頼らずに曲そのものの力で評価された、分かりやすい実例だと思います。
AIっぽい曲についての正直な所感
これは私の主観で、確証があるわけではないのですが、過去の無色透名祭の上位曲を軽く聴いたとき、「なんとなくAIで作ったっぽいな」と感じる曲がいくつかありました。
断定はできません。
ただ、あるあるのAI感のようなものがあって、そう感じただけです。
実際のルールを確認すると、SunoやUdioのような音楽生成AIで作ったメロディや伴奏を参考にしながらDAWとボカロソフトで仕上げるのはOK、生成された音源をそのまま応募するのはNGとされています。
ボーカルには何らかの音声合成ソフトを使うことが必須です。
実際にそれを確認する仕組みがあるわけではなく、最終的には投稿者本人の裁量に委ねられています。
ルールを破ってでも完全にAI任せの曲を出したい人は、出せてしまうと思います。
ボカコレでも、ボカロの声を真似したAI Sunoらしき曲がランキング入りを果たしたりはしていますし、そこはコンテストとかが追いついていないかなと思います。
無色も同様に審査基準がかなり緩めで「なんでもあり」に近い土俵だという印象は、今のところ変わっていません。
ここら辺は、時代ごとにちょっとずつ変わっていくかと。コメントとかを見ると、AI専用のコンテストとかがあればいいとかもありますし、どうなっていくかは気になりますね。
無色透名祭に参加
実は私も、今開催中の無色透名祭4に参加予定です。
匿名投稿というイベントの性質上、この記事でどの曲を出したかは明かせません(投稿者名公開後もです)。
ただ、普段の自分の作風とは違うことを試すいい機会だと思って、今取り組んでいます。
知名度がないから出さない、ではなく、知名度が関係ないからこそ出すという発想の転換が、この祭りには合っていると思います。
まだ音声合成ソフトを持っていない人へ
無色透名祭に参加するには、ボーカルに何らかの音声合成ソフトを使う必要があります。
もしまだ持っていないなら、これを機に検討してみるのもありだと思います。
私が実際に使っているレビューを書いています。
VOCALOID6レビュー|プロセカのミクとルカのために今も手放せない、正直GUMIはSynthesizer Vでも良かった話
打ち込みの速さを自然さ、楽さを優先するならSynthesizer V Studio 2 Pro、初音ミクなど有名なボカロの声で出したいなら上記のVOCALOID6、という選び方でいいと思います。
ジャンルを自由に試すなら、1台で何でも作れるシンセが便利
ジャンル自由といっても、手持ちの音源が普段のジャンル用のものだけだと、実験がしづらいです。
私は普段どおりの編成から離れたいとき、Pigmentsを1台立ち上げることが多いです。
Analog・Wavetable・Sample・Harmonic・Modalの5種類のエンジンがあるので、ジャンルを問わずだいたいの音色をここだけで探せます。

無色透名祭みたいに「いつもと違う色」を出したいときは、Pigments 1台で音作りから試したほうが早いです。
無色の祭りに、顔料のような色(Pigments)で挑むというのも、ちょっと面白い組み合わせだと思っています。
Pigments を Plugin Boutique で見る →
今すぐ参加するには
無色透名祭4は、今まさに代理投稿を受付中です。

代理投稿の受付は2026年9月28日(月)12:00までです。
ランダム再生タイムは11月20日(金)14:00、本開催は同日19:00から、投稿者名の公開は11月23日(月)20:00の予定です。
参加条件は「未公開曲であること」だけで、新しく書き下ろす必要はありません。
もし作ったけれど出していない曲が手元に眠っているなら、そのままエントリーできます。

逆に、今から10日程度で新しく1曲を仕上げるのは、初心者にはさすがに厳しいと思います。
無理に今回へ滑り込む必要はありません。
無色透名祭はほぼ毎年開催されているイベントなので、こういう場があると知っておくだけで、次の開催のときに動けます。
まとめ
無色透名祭が初心者ボカロPに向いている理由は、次の4つです。
- 匿名だから、有名Pも初心者も同じ土俵
- ランダム再生タイムで、露出が平らにされる
- 映像制限が厳しいぶん、MVがほぼ要らない
- ジャンルが自由で、実験のコストが低い
知名度がないことは、この祭りに関しては言い訳になりません。
手元に眠っている曲があるなら、一度出してみることをおすすめします。
ジャンル選びの考え方は、こちらの記事にも書いているので、あわせて読んでみてください。
有名ボカロPも、無色では伸びなかったという報告もあります。
今有名だから、必ずしも曲が全ていいというわけではないと思います。
そう考えると、我々のアマチュアボカロPにも十分チャンスがあるとは思いました。






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