ボカロ曲は広告でほぼ伸びない|無料のニコニ広告を試して気づいたこと

本記事はアフィリエイトプログラム(Plugin Boutique 等)を利用しています。リンク経由の購入で売上の一部が当サイトに還元されますが、価格は変わりません。

 

「ボカロ曲を宣伝したいけど、広告って打つべき?」

この疑問を検索すると、出てくるのはだいたい「ニコニ広告の効果的な使い方」を教える記事です。

 

何万円分使ったらランキングに載った、こういうターゲティングが効く、という攻略情報です。

今回はそれとは逆の話をします。

私が実際に広告を試してみて、お金をかける価値はほとんどないと感じた、という結論です。

 

無料のニコニ広告を試してみた

自分が試したのはお金を払った広告ではなく、ニコニ広告のデイリー福引キャンペーンです。

1日1回無料でルーレットを回せて、当たると広告用のポイントチケットがもらえる仕組みです。

ニコニ広告のデイリー福引キャンペーン画面。1日1回無料でチケットが当たる仕組み

 

無料なので、やる分には損はありません。

実際、ニコニコ動画に登録した当初、こうした無料の広告ポイントを結構な量もらった記憶があります。

使ってみました。

 

結果は、再生数は多少増えるけれど、いいねもコメントも付かない

ただ数字だけが動いて終わる感覚でした。

 

お金を払ってこれをやる意味は、自分には感じられませんでした。

今回は古すぎてデータが取れなかったのですが、ニコ動に登録時に広告がもらえます。

それをやった時は、先ほどの無料広告より遥かに多くの広告を打ちましたが、再生が伸びたもののコメント1件、いいねもほとんどつかない結果でした。

結局ファンもつかずに、一発で終わった感じですね。

 

なぜ効かなかったのか。広告のせいではなかった

正直に言うと、当時はこれを「広告の仕組みが弱いから」だと思っていました。

 

しかし、今振り返ると、原因はそこではありません。

当時の自分の曲のレベルが、そこそこだったからです。

 

広告は、いわば「興味のない人に無理やり見てもらう」仕組みです。

見る側は積極的に選んで見ているわけではありません。

だから、よほど内容が強くないと、見た人の心には残りません。

 

例えば、IRIS OUTを観たがっている人に、無理やりボカロAという曲を見せます。

そうすると、IRIS OUTよりレベルが低いと、無駄な時間だと感じます。そうすると、すぐに離脱、曲の評価も下がると思います。

 

曲のレベルが普通、いい曲程度なら、広告で流入を増やしても、増えるのは「一瞬だけ見て離脱する人」の数だけです。

無料の広告ですらこの結果だったので、お金を払って同じことをしても、起きることは変わらないはずです。

 

10年前と今で、「良い曲」の基準が変わった

もうひとつ、私が思っている意見があります。

「良い曲を作れば伸びる」という前提自体、昔より成立しにくくなっているということです。

 

10年前なら、良い曲を作れればそれだけで伸びる余地がありました。

しかし今は、個人のボカロPの制作レベル自体が全体的に底上げされています。

同じ「良い曲」を出しても、埋もれる曲の絶対数が段違いに多いです。

 

たとえば、ここ最近だけでもこういう曲が出ています。

はやくにげなきゃ / 初音ミク・雨衣

 

ヤラララ / AnythingBecomeMoe

 

どちらも大手レーベルの企画曲ではなく、個人・少人数規模の制作者が出した曲です。

それでも公開から3ヶ月ほどで数百万〜千万回単位の再生を記録しています。

 

これが今の「上」の基準です。10年前の感覚で「良い曲」を作っても、この基準の中では埋もれます。

「良い曲」ではなく「圧倒的にいい曲」でないと、そもそも伸びる土俵に立てないというのが今の実感です。

 

多くの人がいい曲を作ったと言って残念がりますが、いい曲の価値はほぼ無いのです。

とてつもなくいい曲を目指さないとですね。

 

MVにお金をかけるなら、中途半端はやめた方がいい

広告と同じ構造の話が、MV(ミュージックビデオ)にもあります。

映像制作の専門誌VIDEO SALON。人気クリエイターのボカロMV制作術特集号の表紙

 

映像制作の専門誌『VIDEO SALON』で、ボカロMVの特集号を読んだことがあります。

掲載されているクリエイターの作品URLを一通り見てみたのですが、お金をかけているのに伸びていないMVも、プロクオリティなのに伸びていないMVも、普通にありました


 

理由は広告のときと同じだと思っています。

MVがどれだけ良くても、曲そのものが「良い曲」の基準を超えていなければ、映像の力だけではカバーできないということです。

 

自分は普段、MVをAfter Effectsで自作しています。

外注すると1曲5〜10万円くらいかかりますが、AE Juiceのような素材パックを使えば、月3,300円くらいでそれなりの動きは作れます。

After Effectsで開いたAEJuice Pack Manager。動きの素材パックが並んでいる

 

ほとんどのボカロPは、映像がやりたいのではなく音楽がやりたいはずです。

だとしたら、1曲目からMVに大きな予算をかける必要はなく、自作でまず出してみるのが現実的だと思っています。

いきなり1曲目からバズるのは、広告のところで書いた基準を考えても、かなり厳しいことだからです。

 

ただし例外もあります。YouTubeはチャンネルの1本目の動画をアルゴリズム的に優遇する傾向があります(この話はボカロ曲が伸びない、で書いた記事にも詳しく書きました)。

だから、たとえば10年選手クラス(10年くらい個人で作曲をしてきた)で、上で挙げたような曲に負けていない自信が本当にあるなら、1本目に豪華なMVへ投資する価値はあると思います。

あくまで、曲の自信が先にある場合の話です。

 

広告やMVが効くとしたら、こういう時だけ

ここまでの話をまとめると、広告もMVも「曲の実力を底上げする道具」ではなく、「すでにある実力を増幅する道具」です。

 

具体的には、既存のヒーローに、知名度以外の部分で勝っているという確信があるときだけ、使う価値があると思っています。たとえば、こういうレベルの曲です。

 

IRIS OUT / 米津玄師

 

ここまでの知名度・完成度に、中身の部分で並んでいる自信があるなら、広告やMVへの投資は「足りない知名度を埋める」役割を果たせます。

しかし、そこまでの自信がない段階でお金をかけても、リスナーの質は上がらず、ただ再生数だけが動いて終わります。

 

個人ボカロPと法人は前提が違う

ここまでの話は、あくまで個人でやっているボカロPを前提にしています。

 

レーベルや事務所が絡む企画は、広告予算の桁がそもそも違います。

個人が使えるお金とは一つも二つも規模が違うので、法人の広告運用を参考にしても、個人にそのまま当てはまるとは思っていません。

この記事は、あくまで自分のような個人ボカロPの話です。

 

じゃあお金はどこに使うべきか

広告にもMVにも、今すぐ大きく張る必要はない。

これが自分の結論です。だとしたら、余らせたお金の使い道は一つです。

曲そのものの完成度を上げることに使うのが、一番回り道に見えて近道だと思っています。

 

自分の場合、独学でEQを触り始めて、無料プラグインから始まり、今はFabFilter Pro-Qなどを主力に使っています。ミックスや音源選びなど、曲の中身に直接効くところにお金をかけた方が、広告やMVより結果につながる実感があります。

ボカロ曲が伸びない|サムネや宣伝より先に、時間をかけるべきところ

 

「広告・MVより先に何をすべきか」をもう少し具体的に書いたのが上の記事です。

プラグイン選びから始めたい方は、Plugin Boutiqueの使い方や、実際に何を買って何が要らなかったかをまとめた始め方の記事も参考にしてください。

 

Plugin Boutique を見る →

 

まとめ

  • 無料のニコニ広告を試したが、再生数は多少増えてもいいね・コメントは付かず、意味を感じなかった
  • 効かなかったのは広告の仕組みのせいではなく、曲のレベルが「良い曲」止まりだったから
  • 個人の制作レベルが全体的に上がっている今、「良い曲」では足りず「圧倒的にいい曲」でないと伸びる土俵に立てない
  • MVも同じで、お金やクオリティより先に曲の完成度が土台になる
  • 広告・MVが効くのは、既存のヒーローに知名度以外で勝っている自信がある時だけ
  • この話は個人ボカロP前提。法人の広告予算とは桁が違う
  • 迷ったら、広告やMVより先に曲そのもの(プラグインやミックス)にお金をかけた方がいい

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ABOUTこの記事をかいた人

Logic Pro で音楽制作をしています。インスト曲とボカロ曲を作りながら、DTM・プラグイン・ミックスで実際に試して分かったことを書いています。