ミックスのとき、私はいつも EQ とコンプを1つずつ手で挿しています。
ボーカルには FabFilter Pro-Q、その後ろに Pro-C、という具合です。
そこに sonible が smart:chain という新しいプラグインを出しました。
「EQ・コンプ・ディエッサー・ゲート・サチュレーション・レベリングを1枚にまとめる」だけなら、いわゆるチャンネルストリップです。
ただこれは、複数のトラックに挿した smart:chain 同士がセッション全体で通信して、曲全体の中でそのトラックを整えるという作りになっていて、そこが引っかかりました。
まだ使っていません。
気になって調べた段階の記事です。
ずっと前から、この会社は気になっており、将来的には購入しそうな予感です。
smart:chain は何をするプラグインなのか
1つのウィンドウの中に、sonible がこれまで個別に売ってきた処理がまとめて入っています。
ざっくり言うと smart:EQ 4 / smart:comp 3 / smart:reverb 2 / smart:deess(ディエッサー)/ smart:gate / smart:limit 相当の処理に、レベルを自動で追従させる input riding と、曲全体のラフなバランスを作る auto level が足された構成です。

上がそのメイン画面です。
左端に Gate と Input Rider、中央に EQ とコンプレッサー、右端に De-Harsher(ディエッサー)と Saturator。
これがぜんぶ1枚に収まっていて、上部の Auto Leveling がレベルを見ています。(画像は sonible 公式サイトより引用)
肝は、ソース信号を1回だけ解析して、その結果を全モジュールで共有するところです。
EQ が別々に、コンプが別々に音を見るのではなく、1回の分析から「このトラックならこのあたりが噛み合ったスタート地点」を各モジュールに配ってくれる。
そのうえで、出てきた設定は普通に手でいじれます。
sonible 自身も「最終的なミックスを自動化するのではなく、そこに至るまでの繰り返し作業をなくすためのもの」という言い方をしていて、AI に丸投げして完成、という道具ではないようです。
これは当たり前で、人によって曲が違うので、当然そこら辺はOzoneのように微調整は必要かと思われます。
普通のチャンネルストリップと違うのは「セッション全体で繋がる」ところ
ここがこのプラグインの独自なところです。
- インスタンス間の通信:あちこちのトラックに挿した smart:chain が1つの中央ウィンドウから管理できます。Groups を作ったり、トラックを行き来したり、全インスタンスの設定にそこからアクセスできる。窓をいくつも開いて回る手間を減らす、という発想です。
- depth staging(奥行きの割り当て):トラックを Front / Middle / Back の3つのレイヤーに割り当てると、分離感と奥行きが出るように処理が自動で寄っていきます。
- プロジェクト全体の auto level:トラック同士の関係を解析して、ジャンルを踏まえた「ラフミックスの下地」を作ってくれる。トリムで後から微調整もできます。

画面左のこのパネルで、各トラックを Front / Middle / Back に振り分けます。(画像は sonible 公式サイトより引用)
要するに「1トラックだけ見て賢くする」のではなく「曲の中でそのトラックがどう置かれるか」まで踏み込んでくる、というのが売りのようです。
sonible の単体プラグイン(smart:EQ 4 など)との違い
私は EQ や コンプ の記事で、smart:EQ 4 や smart:comp 3 を「評判が良い代替」として紹介してきました(どれも私自身は常用していません)。
その個別プラグインたちは、あくまで単独で動きます。
smart:chain はそれらを束ねたうえで、インスタンス同士が状況を共有するところが増えた版、と考えると分かりやすいです。
すでに smart: シリーズを持っている人には、クロスグレード版が別途用意されています。
smart:EQ 4・smart:comp 3・smart:chain のどれから欲しいかは、sonible のプラグインをどれから欲しいかの記事にまとめています。
自分が使うなら、どこで使うか
おそらくバッキングの下ごしらえに使う形になるかと思います。
ボカロ曲だとギター、シンセ、コーラス群みたいなトラックがまとまって増えるので、そこに smart:chain を挿して depth staging で奥に寄せて、全体のバランスを auto level でざっくり取る。
そこから手でリードや低域を追い込む、という流れなら噛み合いそうに感じました。
逆にリードボーカルとマスターは今まで通り手でやると思います。
そこは一番時間をかけたいところなので、自動で寄せられると気持ち悪いですし、そこは人間の強みが出る場所かと思います。詳しくはボーカルミックスの手順やボーカルチェーンの記事に書いたとおりです。
Logic の純正チャンネルストリップも軽くて優秀ですが、「トラックをまたいで気を利かせる」ことはしません。
そこが smart:chain との明確な差です。
競合という意味では、iZotope Neutron がトラック単位のミックスアシスタント、Nectar がボーカル特化です。
セッション横断で繋がるのが smart:chain の立ち位置、という理解でいます。
価格・入手
通常価格は €179 / $179 です(発売時は2026年9月28日まで €99 / $99 の導入価格でした)。
30日の試用版があります。対応フォーマットは VST / VST3 / AU / AAX、Windows 10 以降・macOS 11 以降。
smart:chain を Plugin Boutique で見る →
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まとめ
「モジュール同士が、さらにトラック同士が連携する」というコンセプトは面白いと思いました。
まずは試用版で、さっき書いたバッキングの下ごしらえ用途を試してみるつもりです。
買うとしても、セールのときに判断したいところですね(セール全体の話)。
sonible のセールの時期と過去の値動きは、sonible のセールの記事で確かめられます。
smart:chain だけのセールの時期と過去の価格は、smart:chain のセールの記事にまとめています。
ただ、ミックスの入口としては Logic 純正の Channel EQ とコンプで十分回ります。
そこで足りなさや作業の遅さを感じてから、こういう道具を足すかどうか考えるので遅くないと思います。
Plugin Boutique の買い方もあわせてどうぞ。
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