私がいま持っているテープ系は、Logic に最初から入っている Vintage Tape だけです。
そこへ、テープの質感とコンプが1台にまとまったプラグインが新しく出てきました。
Universal Audio の Empirical Labs FATSO Tape Simulator です。
ラックの実機をそのまま再現したもので、2026年10月にApollo を持っていなくても使えるネイティブ版が出ました。
先に結論を書くと、私は欲しいけれど、いまの値段では手を出さないほうです。
1万円くらいまで下りてきたら、たぶん買っています。
欲しいのになぜ待つのか、そして「欲しい」と書いたばかりの Ampex ATR-102 より、こちらを先に挙げた理由までまとめます。
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テープとコンプが、1台の中に同居している
FATSO は、Empirical Labs の Dave Derr さんが作ったラックの機材を再現したプラグインです。
名前は Full Analog Tape Simulator and Optimizer の頭文字で、テープの飽和・コンプ・高域のなめらかさを1台にまとめたのが元の発想です。
Plugin Boutique の製品ページによると、実機は AC/DC や Pearl Jam、Soundgarden の録音でも使われてきた機材です。
プラグイン版には、シンプルな FATSO Jr と、コンプを細かく追い込める FATSO Sr の2つが入っています。

Universal Audio の公式チャンネルには、この FATSO の使いはじめを紹介する動画が上がっています。
つまみを詰めるのではなく、4つのモードから選ぶ
FATSO のコンプは、レシオやニーを自分で作るタイプではありません。
Buss・G.P.・Tracking・Spank という4つのモードを選んで、INPUT を押し込む量で深さを決める形です。
公式の説明では、Buss が 2:1 のソフトニーでまとめ用、G.P. は目立たずにレベルを揃える働き者とされています。
残りの2つは性格が強く、Tracking が 1176 系、Spank は70年代の SSL のトークバックのような潰れ方です。

私はこの中の Tracking のところで引っかかりました。
UADx の 1176 は配布でもらって持っていて、いまもドラムとベースには使っているからです。
ボーカルに使わなくなったのは、レシオがいちばん低くても4で、私の歌声合成のトラックには強すぎたからでした。
その 1176 寄りの質感が、テープの飽和と同じ画面に並んでいるのが FATSO の面白いところです。
1176 側の話はUADx 1176の記事にまとめてあります。
Sr のほうには、スレッショルドやアタック・リリース、サイドチェインのハイパスフィルターが足されています。
モードだけでは物足りない人が、あとから細かく詰められるようになっている作りです。

動画で聞いた音の印象
公式の動画を一通り聞いた感想としては、めちゃくちゃいい音でした。
特定の楽器用というより、どのトラックに入れても効きそうな鳴り方です。
楽器を選ばずに使えそうという意味で、どのトラックに挿しても効きそうだと感じました。
細かく設定を作り込むより、通して色を付けるタイプの道具だと思って見ていました。
ここまではあくまで動画を聞いた印象で、自分のプロジェクトで鳴らしたわけではありません。
それでも「これは良さそうだ」と思わせる音ではありました。
ATR-102 と FATSO、先に挙げるならどちらか
少し前に、同じ Universal Audio の Ampex ATR-102 を「欲しい」と書きました。
テープのシミュレーターが好きで、Stereo Out に挿して全体の雰囲気を作りたかったからです。

そのうえで、いまどちらか1本と言われたら私は FATSO を選びます。
動画で聞いた限りの音が好みだったことと、つまみの並びが分かりやすくて、デザインそのものが好きだったことが理由です。
どちらも「テープ」と言われる製品なので、聞いた印象は近いところもありました。
ただ、両方を自分の曲で挿し比べたわけではないので、ここは見た目と動画の音での判断です。
ATR-102 側の値動きと買い時は、こちらにまとめています。
Ampex ATR-102のセールはいつ?過去の値動きと買い時|OzoneのVintage Tapeを使うボカロPが、2本目のテープに選びたい理由
テープ系を何本も持つ意味はあるのか
正直に言えば、テープ系をたくさん持つ必要はありません。
1本あれば、曲の雰囲気を作るところまでは十分に届きます。
それでも私が集めたくなるのは、同じ「テープ」でも微妙なニュアンスが違うからです。
グランドピアノの音源も、どこの会社のグランドピアノかで音が違います。
テープも同じで、どれを通すかで残る色が少しずつ変わります。
単純に好きなジャンルの道具なので、何本かあってもいいと思っている側です。
そのうえで FATSO に惹かれたのは、コンプが混ざったテープ系を持っていないからでした。
質感だけのものは手元にありますが、潰しながら色を付けるものは別枠です。
ほかのテープ系の値動きはテープのプラグインの買い時の記事とUAD Pick 5 Mix Tapeの記事にまとめています。
いくらなら買うか
公式サイトでの通常価格は $149 です(Sound On Sound)。
Plugin Boutique の円の表示だと、通常は ¥25,944 になります。

正直なところ、1万3000円台は私にはちょっと高いです。
1万円くらいまで来てくれると嬉しい、というのが今の感覚です。
この手のハードの再現はほとんど持っていないので、価値がないと思っているわけではありません。
テープ系が好きな分、値段のところだけで止まっている状態です。
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過去のセール
ネイティブ版は出たばかりで、値下がりの履歴はまだありません。
分かっているのは、ここまでの値段の付き方だけです。
- 2009年8月27日:Apollo や UAD-2 で動く DSP 版が登場。当時の価格は $299(出典:Sound On Sound)
- 2026年10月13日:ネイティブ版(VST3/AU/AAX)が発売。通常価格は $149 で、発売記念の値引きが Plugin Boutique と UAD ストアで同時に始まった(出典:rekkerd)
- アップグレード:Apollo の DSP 版を持っている人は $2.99 で乗り換えられる(出典:Sound On Sound)
発売記念の値引きが終わったあと、次にまとまって下がるとすればブラックフライデーだろうと見ています。
年末のセールでは大きく動いてきたメーカーなので、急ぎでなければそこまで待つ手もあります。
同社のほかのプラグインの下がり方はUniversal Audioのセールの記事、年末の動きはブラックフライデーのまとめにまとめています。
こんな人には、待たずに買う価値がある
私が待つと言っているのは、あくまで手持ちと予算の話です。
次のような人なら、値段が下がっているうちに入る価値があると思います。
- 動画を聞いて「この音が好きだ」と感じた人
- ハードウェアを再現したプラグインを1本も持っていない人
- まだ機材が揃っていない初心者で、質感を足すものが欲しい人
特に3つめの場合、テープとコンプが1台になっている分、最初の1本としての守備範囲は広いです。
逆に、すでにテープ系とコンプを別々に持っている人は、慌てる必要はありません。
まとめ
FATSO は、テープの飽和と4つのコンプのモードを1台にまとめたプラグインです。
ネイティブ版になったことで、Apollo を持っていなくても使えるようになりました。
私は欲しい側ですが、1万円くらいまで待つという結論です。
音が好みに合って、ハードの再現を1本も持っていない人なら、ここで入るのは十分にありだと思います。
動画の音が好みで、テープとコンプをまとめて1本で済ませたい人に。
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Stereo Out に挿して、曲全体の雰囲気をテープ側に寄せたい人に。
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