ShaperBox 3 のレビュー で、EDM 用の飛び道具として買ったけれど、結局ベースのダッキングくらいしか使っていない、という話を書きました。
その ShaperBox が「リズムに合わせて切る・動かす」方向の飛び道具だったのに対して、もう少し 綺麗系・質感系 の飛び道具が欲しくて買い足したのが、今回の Output Portal です。
先に結論を書いておくと、Portal はプリセットを読み込むだけで 曲の印象がガラッと変わる プラグインです。
ただし、狙った音にはなりません。
あくまで「予想外の変化を楽しむ特殊枠」で、私はまだ使いこなせていません。
まずは公式の紹介動画を貼っておきます。
ShaperBox の相方として、綺麗系の飛び道具に買った
買ったのは、作曲を始めて 40曲目くらいの頃です。
きっかけは ShaperBox 3 でした。
EDM っぽい曲で飛び道具的なエフェクトをかけたくて ShaperBox を買ったのですが、あれはどちらかというとリズミックで、キビキビした変化が得意に感じます。
そういう方向性ではなく、音がふわっと溶けたり、伸びたり、ぼやけたりする 綺麗系の飛び道具 が別で欲しくなりました。
というのも、どちらかというと、ポップス、シネマティック寄りの作曲が私は好きなので。
そこで、グラニュラー系のエフェクトである Portal を、セールのタイミングで買いました。
Portal は何をするプラグインか
Portal は グラニュラー のエフェクトです。
ざっくり言うと、入ってきた音をものすごく細かい粒に刻んで、その粒を撒き直す、という処理をします。
粒を伸ばす、ピッチをずらす、間隔を散らす、逆再生する。そうやって元の音を作り替えていきます。
グラニュラーは、Pigmentsの機能についていて知りました。

メイン画面の真ん中にある円は、その粒の散らばり方をビジュアル化したものです。
右側の大きなつまみ2つ(マクロ)と、中央の XY パッドを動かすと、粒の量や広がりがまとめて変わります。
結果として出てくるのは、パッド、テクスチャ、ドローン、キラキラした残響みたいな音です。
原音の面影は残るけれど、そのままの楽器ではなくなる、という感じですね。
基本はセンドで、プリセットのまま使う
私の使い方はかなりシンプルで、センドで薄くかけるだけです。
トラックに直接インサートしてガッツリ変質させることもできますが、それだと元の演奏が消えてしまいます。
そもそも、他の演奏時の部分が変形してしまうので、基本センドですね。
基本は、リバーブと同じようにセンドで送って、原音の後ろにうっすら Portal の音を足す、という使い方が多いです。

音作りは、基本プリセット頼りです。
Portal のプリセットは数が多くて、しかも DRUMS、VOCALS、GUITAR & KEYS、DELAY、GLITCHY といった 楽器・用途ごとに分類 されています。
ピアノに挿すなら GUITAR & KEYS のあたりから順番に試す、という選び方ができるので、ここは分かりやすいです。
プリセットを読むと、右側のマクロ2つに STRETCH とか WASH とか、そのプリセット用の名前が割り当たります。
あとはその2つと XY を動かして、かかり具合を曲に合わせるだけ。それで十分「使えて」しまいます。

効いたのは「予想外の変化」
Portal を挿していちばん面白いのは、予想外の変化 が返ってくるところです。
たとえばコード系(パッドやピアノ)に薄くかけると、不思議な浮遊感が出ます。
自分では思いつかない揺れ方・散らばり方をするので、「この曲この方向もアリだな」と気づかされることがあります。
変化量もそれなりに大きくて、うっすらかけたつもりでも曲の印象がけっこう動きます。
なので私は、2番の A メロ・B メロの味変 に使うことが多いです。
1番と同じ展開だと飽きるので、2番だけ Portal のセンドを上げて、景色を少し変える、という使い方ですね。
ボーカルに挿すと、ドローンになる
ボーカルに挿すのも面白いです。
グラニュラーで刻むので、歌詞はほとんど聞き取れなくなります。
主役のボーカルそのものには使えません。
ただ、ドローンや背景のテクスチャとしてならすごくいいと思ってます。
ボカロは、意味不明な曲とかもありだと思うので。
ボーカルの一部を複製して Portal に通し、間奏やアウトロで薄く鳴らしておくと、人の声っぽいのに言葉じゃない、というレイヤーが作れます。
ミックスの中の隙間を埋める要員として便利かなとは思います。
結局センスによるかもしれませんが。
正直きびしいところ:狙った音にならない
ここが本題です。
Portal は、プリセットから離れて自分で追い込もうとすると急に難しく なります。

詳細画面を開くと、SPEED、OFFSET、DENSITY、SIZE、PITCH、SCALE、SHAPE、FEEDBACK……と、粒をコントロールするつまみがずらっと並んでいます。
さらに下にはモジュレーションが2系統。
グラニュラーという仕組み自体が直感的ではないので、どのつまみが音のどこに効くのかが分かりにくいです。
少しいじるとガラッと変わるし、行き過ぎると「なんだこれ」という特殊効果音になってしまいます。
狙って「こういう質感にしたい」と思っても、そこにたどり着けないですね。
正直、私自身も「これ、どう使うのが正解なんだろう」と思いながら触っています。
使い方をかなり選ぶプラグインです。
Pigmentsの方が、グラニュラーに関しては使いやすいですね。
競合:Efx FRAGMENTS と autochroma と迷った話
買うときに比較したのは2つです。
ひとつは Arturia の Efx FRAGMENTS。
同じグラニュラー系のエフェクトで、モードが分かれていて Portal より整理されている印象でした。
ただ、これは Arturia の FX Collection にまとめて入っていて、私はいずれそのバンドルで揃えるつもりだったので、単体では買いませんでした。
結局FX Collectionのセールが来なかったので、そのまま買わずじまいですね。
もうひとつは imagiro の autochroma。
$40 くらいと安くて評判も良かったのですが、開発元が個人規模の1社だけで、購入時のメールを無くすと再ダウンロードができない(買い直しになる)という話を見かけて、ライセンス管理が不安で見送りました。
あとはPCを買い替える予定なので、買ってからいいかと思っていますね。
なお、グラニュラー自体は Pigments のレビュー で書いたとおり、シンセの中にも入っています。
ただ Pigments のそれは「音源として一から鳴らす」ためのもので、Portal は「今ある音を丸ごと変質させる」専用機なので、役割は別物ですね。
これから、もっと多用してみようと思っている
ここまで正直に書いてきましたが、最近は出番が減っていました。
難しいので、つい手が伸びなくなります。
せっかくいい感じの曲が作れた時に、Portalで台無しにしたくないなあと思ってしまいますね。

ただ、ミックスの記事 にも通じる話で、もう一歩「抜けた」曲にしたいなら、この手の飛び道具を怖がらずに使い込むべきだとも思っています。
プリセットのまま薄くかけるだけでも十分効果はあるので、使いこなせれば頭ひとつ抜けられそう な手応えはあります。
なので、これからは詳細画面のつまみも少しずつ覚えて、2番の味変だけじゃなく、イントロやサビ前の展開にも積極的に入れていくつもりです。
予定では、グラニュラーだけで丸ごと曲を作ろうとも考えていますね。
買うなら:日本は SonicWire のセールが安い
Portal は Plugin Boutique だと通常 ¥25,970、セールで $75 前後(3割〜5割引き)になります(今の状況で)。
ただ、日本で買うなら 国内代理店の SonicWire のセールが安い ことが多いです。
半額で8000円くらいまで下がるので、円で見ると Plugin Boutique より得になりがちです。
公式サイトの直販は一番高いので、そこで定価買いするのはもったいないです。
Output Portal を Plugin Boutique で見る →
Plugin Boutique のほうが向くのは、すでに PB のアカウントや Virtual Cash がある人、海外在住の人、あるいは PB 側がたまたま安いタイミングのときです。
どちらにしても、Portal はセールの回転が速いので、定価では買わず、半額を待つのがいいと思います。
買い方は Plugin Boutique の使い方、セールの時期の全体像は プラグインのセールは待つべき? と DTMのブラックフライデー にまとめています。
まとめ
Output Portal は、ShaperBox の相方として、綺麗系の飛び道具に買ったグラニュラーエフェクトです。
プリセットを読むだけで曲の印象がガラッと変わるのは強みで、コード系に挿したときの浮遊感や、ボーカルを刻んだドローンは、自分では作れない音です。
基本はセンドで、2番の味変に使っています。
一方で、狙った音にはならない特殊枠 でもあります。
詳細画面はつまみが多く、グラニュラーの仕組み自体が分かりにくいので、「こうしたい」を形にするのは難しい。私もまだプリセット頼りです。
ポップス中心なら優先度は中くらい のプラグインだと思います。
ただ、「もう一歩抜けたい」ときの引き出しとしては面白い存在なので、私はこれからもう少し使い込んでみるつもりです。
Output Portal を Plugin Boutique で見る →
飛び道具の使い分けは ShaperBox 3 のレビュー、質感を足すという意味では サチュレーションの記事 や RC-20 のレビュー も合わせてどうぞ。
1曲を最後まで作る流れは まず1曲を完成させるまで に書いています。






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