一念発起してボカロPになろうと決めたとき、私は音楽をほとんど知りませんでした。
「3日で曲が作れる」みたいな作曲の教則本を買って始めたのですが、これは正直あまり役に立ちませんでした。
本自体はわかりやすく買ったのですが、そもそもLogic Proの使い方も理解しておらず、難しく感じていました。
また、定番のコード進行どころか、そもそも普通のコードもよく分かっていなかったからです。
曲づくりのブレーキは、大きく2つありました。コードとドラムです。
このうち コードのほうを、Scaler 3(Plugin Boutique)で一つ潰しました。
曲を1曲も完成させられなかった時期に、それを何とかするために買いました。
ドラムのほうは、2〜3曲目のあたりで XO を買って解決していきました。
先に結論を書くと、Scaler 3 は 曲もコードもまだ作れない時期の入り口としては、買ってよかったです。
ただし万能ではないし、上達すると出番は減っていきます。
私も今はほとんど使っていません。最初のコード設計のみですね。
コード進行そのもの(王道進行や転回・ボイシングの話)は コード進行の記事 に分けて書きました。
こちらは Scaler 3 という製品のレビューです。
まずは公式のトレーラーを貼っておきます。
実際に効いたこと:キーを決めて、コードを選んで、Logic に書き出す
Scaler 3 で私がやっていたのは、ほぼこの流れです。
まず キー(スケール)を選ぶと、そのキーに合うコードの候補が並びます。
あとは鼻歌に合いそうなものを順番に選んでいくだけで、進行の形になります。

Common Progressions や Songs には、定番進行やアーティスト風の進行がプリセットで入っていて、押すだけでコードセットに読み込めます。
「進行のストックがゼロ」の状態を、ここで埋めました。
もちろんネットで調べればすぐ出てくるんですがね。スケールに合わせられるのが強いですね。
例えば、Amキー: Am → F → G → E7 の進行があるとします。
これに対してEmキーはEm → C → D → B7 となります。
ただ転調すればいい話ですが、知らないうちは、勝手に変換してもらえた方が楽ですよね。

組んだ進行は、Scaler を Logic のトラックに挿して、そのまま MIDI で書き出せます。
あとは好きな 音源 で鳴らすだけです。

音楽の知識がほぼゼロでも、この流れで初めて「進行が最後までつながった」曲ができました。
教則本よりずっと効きました。
ほぼ答えが、丸ごと出てくるので強いです。
特に、CmajとAmスケールはわかるけど、それ以外のスケールが理解できないとかでは有用かと思います。
Scaler 3 の使い方は、こちらの記事にまとめています。
何台のパソコンに入れられるかと、認証のし直しのやり方は、Scaler 3 のライセンスの記事にまとめています。
期待したほど使えなかったところ
正直に、ここは合わなかった、という部分も書いておきます。
Chord Detection(既存曲の進行解析)の精度が低い。
手持ちの曲や MIDI を読み込むと進行を推定してくれる機能ですが、試した範囲では 100% 正解ではなく、途中で当てにするのをやめました。
アルペジオ(Motions)は定番止まり。
最初は使っていました。
ただ自由度が低く、よくあるパターンばかりです。
いまは Logic 純正のアルペジエーターを使っています。
できることはほぼ同じで、むしろ純正のほうが細かく作り込めます。
なんならきちんとした曲を作る際は、アルペジエーターも機械っぽいので使っていません。アルペジオは手打ちですね。

ベースの Motions は「おしゃれベース」寄りで、私の曲には合いませんでした。
グリッドにきっちり乗った動きではなく、少し崩した譜割りのパターンが中心です。
「こういうのもあるのか」と眺めて終わりました。ちょっとぐらいは使いましたが、結局手動でグリッドに合わせていたので。
ボイシング・転回は、手動のほうが早かったですね。
Scaler は同じ進行のボイシング違いを並べてくれますし、MIDI 段階で Drop 2 などを選ぶこともできます。以下はコードの段階での転回です。

ただ私は基本のコードをトライアドで置くくらいで、転回は Logic のピアノロールで直接動かすほうが速かったです。
Scaler 側でボイシングを自由にいじれるのは MIDI 処理の段階、という印象でした。
以下Scaler3でのmidi操作画面ですね。

転回で聞こえ方がどう変わるかは コード進行の記事 に書きました。
ボカロで使いたい激しめのフレーズは少なめです。
落ち着いた・おしゃれな方向のプリセットが中心でした。海外はまだボカロがメインではないので、まだメジャー曲よりかなという印象です。
海外でボカロがもっと広まれば、今後は改良される可能性はありますね。
誰に向くか、向かないか
向いていると思う人:
- コードや曲が、まだ自分では作れない人
- コードに対してベースがどう動くか、みたいな「完成品の例」を総合的に見たい人
- コードに合わせて自動で鳴らしてほしい、手早く進行が欲しい人
あまり向かない人:
- ドラムだけ欲しい人 … ドラム音源 を買ったほうが早いです。Scaler はドラムは作れません
- ボカロで激しい曲をやりたい人 … フレーズの引き出しが合いにくいです
- アルペジオやベースの作り込みが目的の人 … 純正のアルペジエーターや専用音源のほうが上です
- もう自分でコードを置ける人 … 出番がなくなります
買うなら
私が買ったときは 12,000〜15,000円くらいでした(2026年時点の正確な価格は公式で確認してください)。
Scaler EQ とのバンドルもあります。
直販でも Plugin Boutique でも買えますが、急がず セール時期を狙うのがいいでしょう。年に何度かは下がります。
Scaler 3 を Plugin Boutique で見る →
Plugin Boutique での買い方や、小さい開発元の製品を買うときの注意は Plugin Boutique の使い方 にまとめています。
競合は考えなかった(けど、一度失敗している)
Scaler を買うとき、他の候補はほとんど比べませんでした。
ただ、その前に Orb(自動作曲系のプラグイン)を買っていて、これはわりとすぐ使えなくなりました。
開発元がなくなったからです(買収で似たプラグインがありますが、その前のを買ったので、私は使えません。新しく買う必要あり)。小さい開発元の製品は、こういうリスク込みで見る必要があります。
自動でフレーズを作ってくれる系のプラグインにも興味はありましたが、「本当に有用なら、もっと多くの人が使っているはず」と考えて見送りました。
結果として Scaler は「みんなが使っている定番」だったので、その判断は外していなかったと思います。
まとめ
Scaler 3 は、コードも曲も作れなかった時期の入り口としては、しっかり役に立ちました。
「3日で作れる」の本より、こっちのほうがずっと効きました。
ただ、万能ではありません。アルペジオやベースは純正や専用音源に譲るし、上達すると出番は減ります。
それでいいと思っています。最初に「進行ってこう組むのか」を体で分かるための道具として、価値がありました。
Scaler 3 を Plugin Boutique で見る →
1曲を最後まで作る流れは まず1曲を完成させるまで に書いています。







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