MODO BASS 2 のレビュー で、キックとベースの被りをダッキングで処理していて、そのとき使っているのが ShaperBox 3 だと書きました。
今回はその ShaperBox 3 だけを取り出して、単体でレビューします。
先に結論を書いておくと、私はこれを EDM 曲で手軽にエフェクトをかけるための多機能プラグイン として買いました。
しかし、実際に定番になったのは ベースのダッキング ひとつだけです。ポップス中心の人なら、優先度はそれほど高くないと思います。
まずは公式の紹介動画を貼っておきます。
こんな感じに使えるといいんですがねえ。
セールに釣られて買った。本命は Effectrix 2 だった
買ったのは、作曲を始めて 40〜50曲目くらいの、かなり後になってからです。
きっかけは、EDM っぽい曲を作るときに、フィルターやゲートやストップみたいな効果をリズムに合わせてかけたい、というものでした。
そういう「1台で色々やれるリズミックなエフェクト」を1つ持っておきたかったのが理由です。
あとは再生数が伸び悩んでいたので、結局特殊なエフェクト系、派手な演出が必要かと思ったのも理由ですね。

そのときに本命だったのは、実は Sugar Bytes の Effectrix 2 でした。
ステップシーケンサーでエフェクトを並べていくやつです。
ただ、Effectrix 2 は 20,000円くらいして、そこまで出す踏ん切りがつかなかった。そこにちょうど ShaperBox 3 がセールで出ていたので、安いほうを買った というのが正直なところです。
もうひとつ、買ってから効いた副産物があります。
それまでキックのダッキングに Kickstart 2 を使っていたのですが、Logic だとオーディオシンクが効かず挙動がおかしくて困っていました。
ShaperBox でそれが代替できたので、ダッキング用途でも乗り換えることになりました。
この経緯は MODO BASS 2 のレビュー にも少し書いています。
結局、ベースのダッキングだけが定番になった
これだけ多機能なプラグインなのに、私の中で定番になったのはボリュームのダッキングだけです。

やっていることは、キックが鳴る瞬間だけベースの音量をスッと下げる、という定番の処理です。
キックとベースの帯域の住み分けは 最初に変えるべき音源はドラムとベース や サチュレーションの記事 にも書きましたが、EQ で分けるだけでなく、こうして音量でも避けさせると低音がまとまります。
多くの人は、コンプでダッキングすることが多いかと思います。
今回のポイントは、マルチバンドで 低域だけ沈めて、中域より上は動かさない ことです。ShaperBox は各シェイパーを帯域で分割できるので、ベースだと 100Hz あたりから下だけダッキングして、上はそのままにします。全帯域を一律に下げるとベースが引っ込みすぎて不自然になりがちなので、ここは分けたほうがいいです。
Logic での MIDI ダッキングのやり方
ここが少しクセがあります。
ShaperBox 3 は Logic Proと相性が悪く、オーディオのサイドチェイン入力にテンポ同期できません。
これは公式サイトでも書いてあったと思います。
Kickstart でも同様です。
リズムシンクはできるので、1小節とか、1/4とか、キックを指定しなければ、リズムでそのタイミングにダッキングできます。
なので、私は MIDI でトリガーさせています。
手順はこんな感じです。
- バスを1本作って、ベースの出力をそのバスに通す
- そのバスのアウトプットは No Output にして、そのトラックで音そのものは出さない
- 別のトラックに ShaperBox を音源として挿す
- ShaperBoxのサイドチェインとして、ベースのバスを通す
- ShaperBox のトリガーを MIDIモード にする
- ShaperBox が乗っているトラックに、キックの MIDI リージョンを置いておく
こうすると、キックの MIDI が鳴るタイミングでダッキングカーブがトリガーします。
MIDI なので、キックの拍にきっちり合います。
面倒なのは、キックのパターンを変えたら MIDI も置き直しになるところです。
テンポや構成をいじるたびに手当てが要ります。
オーディオシンクができれば要らない作業なので、そこは正直面倒です。
だから、作曲終わりの最後にダッキングを設置してもいいかもしれません。
それでも、やる/やらないで低音のまとまりが圧倒的に変わる ので、私は必ずやっています。
MIDI まわりの細かいやり方は、公式のこの動画がまとまっています。
もうひとつの使い道はライザー
ボリューム以外で使うのは、ほぼ ライザー だけです。
ビルドアップで「シューッ」と上がっていく、あの効果音ですね。

これはプリセットに Risers 系がひとまとまりあるので、そこから選んで使います。
ただ、ここにひとつ大きな欠点があります。ライザーの長さを自由に決められないです。
置けるのは 1小節・2小節・4小節・1.5小節・3小節、といった決まった単位での繰り返しだけで、その単位(と、その公倍数)以外の長さには合わせられません。
たとえば「ここから4小節かけて上げたい」と思っても、4小節の倍数で区切れる場所にしか置けません。
途中に半端な1小節を足すと、以降が全部ズレて、結局その4小節を足せなくなります。
曲の構成が素直な4小節・8小節で組まれていればいいのですが、そうでないと噛み合わせに手こずります。
プリセットは多い。昔はパンやワイズも使っていた
プリセットの数は豊富です。
ダッキング系もライザー系も、味変系も一通りあります。

そのまま曲に馴染むことは少なくて、結局は自分で削ったり薄めたりすることになりますが、たまに「これ面白いな」というのに当たります。
手癖から抜けたいときに一周する、くらいの距離感で使っています。
昔は Pan や Width のシェイパーも使っていました。
A2メロや B2メロ、ボカロのパートで、2番だけちょっと質感を変える、みたいな味変ですね。
ただ、変化が大げさになりすぎることが多くて、最近はほとんど使わなくなりました。
薄くかけたいのに、そこまで細かく詰めるより素直に別の手段を取ったほうが早い、と感じます。
正直きびしいところ:CPU が重い
いちばん引っかかっているのは、CPU がかなり重い ことです。

シェイパーを重ねられるのが売りではあるのですが、そのぶん負荷も積み上がります。
私はライザーを3つ以上重ねると、フリーズしやすくなる印象です。
なので、ShaperBox は たくさんのトラックに挿すものではない と思っています。
ここぞという場所に1つ2つ、というのが現実的です。
だから、おんなじ音色のライザーになってしまいますね。トラックが同じなので。
そうすると、Spliceで貼った方が早いですね。圧倒的に。
もうひとつ、身も蓋もない話をすると、私は最近あまり EDM を作っていません。
ポップスやボカロ曲が中心なので、この手のリズミックなエフェクトの出番自体が少ない。
買ったときの目的から考えると、ぶっちゃけ必要なかったかも、と思うことはあります。
競合:Effectrix 2 と迷った
最初に書いたとおり、買うときの本命は Sugar Bytes の Effectrix 2 でした。
Effectrix 2 はステップシーケンサーにエフェクトを描いていくタイプで、グリッチやストップ、リバースみたいな飛び道具を並べるのが得意です。見た目も分かりやすいです。
最終的には、20,000円という値段で踏みとどまって、セール中で安かった ShaperBox 3 を選びました。ShaperBox は「エフェクトを時間で描く」考え方で、ダッキングみたいな地味な処理にも使い回せるぶん、私の用途にはこちらのほうが合っていたと思います。
飛び道具の即戦力さでは Effectrix に分がある、という印象です。
乗り換え元の Kickstart 2 については MODO BASS 2 のレビュー に書いたとおりで、Logic でのオーディオシンクの相性で手放しました。
結局は同じ感じなんですけどね。
これからShaperBoxを買うなら
用途をはっきり分けて考えるのがいいと思います。
ダッキングだけが目的なら、VolumeShaper 単体で十分 です。ShaperBox 3 の一式は要りません。単体なら 5,000円台で、ボリューム系のことは全部できます。
一応名前を言っておくと、ShaperBoxは全部入りバンドルです。個別のVolumeShaperとかが組み合わさったもので、単体でも買うことができます。
Cableguys VolumeShaper 7 を Plugin Boutique で見る →
EDM 系をよく作っていて、フィルターやライザー、味変まで1台で回したいなら、全部入りの ShaperBox 3 Bundle にする意味はあります。
私自身は EDM をそれほど作らないので出番は少ないですが、ジャンルが合う人にはハマると思います。
Cableguys ShaperBox 3 Bundle を Plugin Boutique で見る →
どちらにしても、急いで買うものではなく、セールを待つ前提でいいと思います。
Cableguys はセールの頻度が高いので、定価で買うのはもったいないです。
買い方は Plugin Boutiqueの使い方、セールの時期の全体像は DTMのブラックフライデー と プラグインのセールは待つべき? にまとめています。
まとめ
ShaperBox 3 は、EDM 用の多機能モジュレーターとして、セールに釣られて買ったプラグインでした。
結果として、定番になったのはベースのダッキングだけです。
マルチバンドで低域だけ沈める処理は今も毎曲やっていますし、Logic ではオーディオシンクが効かないので MIDI でトリガーさせる、という手当てまで含めて手に馴染んでいます。
ライザーもたまに使いますが、長さの制約と CPU の重さで、そんなに数は置けません。
パンやワイズの味変は、大げさになりすぎて自然と使わなくなりました。
ポップス中心なら、優先度は低い プラグインだと思います。ダッキングが目的なら VolumeShaper 単体で足りますし、EDM をやり込むなら全部入りをセールで、という距離感がちょうどいいです。
Cableguys ShaperBox 3 Bundle を Plugin Boutique で見る →
キックとベースの住み分けをもう少し広く知りたいなら コンプレッサーの記事 と 最初に変えるべき音源はドラムとベース、1曲を最後まで作る流れは まず1曲を完成させるまで に書いています。






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