Synthesizer V Studio 2 Pro を使ったレビュー|ボカロPになるなら買っていい、セールは待たなくていい

本記事はアフィリエイトプログラム(Plugin Boutique 等)を利用しています。リンク経由の購入で売上の一部が当サイトに還元されますが、価格は変わりません。

 

ボカロ曲のボーカルは、いま Synthesizer V Studio 2 Pro を主力に使っています

打ち込みが速くて、声もそのままで十分きれいなので、できることなら全部これで作りたいと思っているくらいです。

この記事では、実際に使ってみて良かったところ、逆に惜しいところ、そして「最初に買うなら何を選べばいいか」を、VOCALOID6 も併用している立場から書いていきます。

 

まずは公式のローンチ動画を貼っておきます。

どういうソフトかは、これを見るのが早いです。

というか、ボカロPならすでに知っているかと。

 

何を買ったか:AHS のセットを18,700円くらいで

私は AHS(AH-Software)の、Synthesizer V Studio 2 Pro と重音テトが一緒になったパックを買いました。

定価は22,000円くらいですが、既存の AHS ユーザー向けの優待があって、18,700円くらい。

しかも声がもう1つ、おまけで付きました。

エディタ(Pro 本体)と歌声データベース(声)が最初からセットになっているので、買ってすぐ歌わせられます。

 

Synthesizer V Studio 2 Pro の編集画面。ピアノロールに音符と歌詞が並び、下部にパラメータパネル、右にボイス選択がある

 

先に正直なことを書いておきます。

重音テトを使いたいなら、AHS のセットやセールで買うのがいちばん安いです。

 

Plugin Boutique だと、Synthesizer V Studio 2 Pro のエディタにスターター用の声が1つ(英語の Liam、中国語の Mo Xu、日本語の Mai 2 から選ぶ形)で、1万8000円くらい。

 

数字だけ見ると安く見えますが、このセットに重音テトは入っていません。

テトを別で買い足すと1万円くらいかかるので、テト前提なら AHS のセットのほうが確実に安いです。

 

Plugin Boutique で買う意味があるのは、こんなときです。

  • 重音テトにはこだわらず、エディタと Dreamtonics 公式の声(Solaria など)をまとめて揃えたい
  • Plugin Boutique のセールを狙う、またはふだんから Plugin Boutique を使っていてアカウントがある
  • 日本以外に住んでいる

 

円での金額は、セールで動くので実際の表示額を AHS 直販と見比べてください。

場合によっては、Plugin Boutiqueの方が安いことも生じ得ます。

 

Synthesizer V Studio 2 Pro を Plugin Boutique で見る →

 

Plugin Boutique 自体のアカウントの作り方や買い方は Plugin Boutique の使い方 にまとめてあります。

歌声合成にたどり着くまでに何を買ったか、総額いくらかかったかは ボカロPの始め方 のほうで書きました。

 

良かったところ:打ち込みが速い、声色を選べる

いちばんは 打ち込みが速い ことです。

音符を置いて歌詞を入れれば、その時点でかなり自然に歌ってくれるので、ベタ打ちのまま仮歌として使えます。

 

あとから詰めるのは、音の入り・語尾・しゃくり・フォールと、パラメータを少しだけですね。

最悪面倒だったら、いじらなくていいかと思います。

 

全部の音をいじる必要は全くありません。調声で実際に触っているところは ボカロの調声はやりすぎないほうがいい に詳しく書きました。

私は毎回、20-30時間とかかけて調整していましたが、再生数とは全く関係ありませんでした。

 

Synthesizer V Studio 2 Pro のパラメータ編集。テンションやダイナミクス、Airy、ピッチのカーブをノートごとに描ける

 

Vocal Mode(ボーカルモード)は、私は全部使います。

同じ声でも Rock、Cute のように歌い方の傾向を切り替えられる機能で、曲のジャンルに合わせて声色を変えるのに欠かせません。

私は民族ポップス、ロック、メタル、EDM と、わりと何でも作るので、そのたびにモードを選び直しています。ここは無料版と有料版で差が出るところなので、Pro を選ぶ理由のひとつです。

ピッチとか発音も個別にいじれるので、自由度は高いですね。

 

Synthesizer V Studio 2 Pro のボイスとボーカルモード選択画面。Rock や Cute などボーカルモードを切り替えられる

 

機能の全体像は、公式のウォークスルー動画が分かりやすいです。

 

AIリテイクはダブリングで使う

AIリテイクは、歌い方の候補を作り直してくれる機能です。

私はメインのテイクを差し替える用途ではなく、ダブリング(同じフレーズを重ねる) のときに使っています。

微妙に歌い方の違う候補をもう1本作って重ねると、無料でやるコーラスの厚みづけよりも自然になじみます。

 

本来のプロとかは、ニュアンスが違う時に、ニュアンスを近づけるために使うそうです。

私はそこまでこだわっていないので、あまりにも変でなければ、そのまま採用が多いですね。

もちろん稀に、歌い方変更で使うことはありますね。

 

Synthesizer V Studio 2 Pro のノートパネルでAIリテイクを実行し、歌い方の候補が複数生成された状態

 

多言語もかなり実用的になっていて、日本語の声のまま英語で歌わせられます。

私の場合はポップスのサビ前などに英語のワンフレーズを入れる、くらいの使い方ですが、発音の破綻が少なくてそのまま使えます。

 

Synthesizer V Studio 2 Pro の言語選択。日本語のほか英語などを選んで同じボイスで歌わせられる

 

トラックに簡単なコンプや EQ、リバーブをかける内蔵エフェクトもあります。

私は最終的に Logic 側で処理するので作り込みませんが、スタンドアロンで歌を聴きながらざっと整える分には十分です。

 

Synthesizer V Studio 2 Pro の内蔵エフェクトパネル。コンプやEQ、リバーブをトラックにかけられる

 

惜しいところ:Logic と連携できない、たまに操作が面倒

不満はほとんどないのですが、正直に書いておきます。

 

まず、Logic Pro とは連携できず、スタンドアロンで使っています

本来はプラグインとして DAW の中で動かせるはずで、ブリッジ用のものもインストールしたのですが、私の環境ではどうしても繋がりませんでした。

おそらく、Logicの場合は、Rosetta起動が必要かと。しかし、Rosetta起動すると重くなるので、私は基本しません。

 

なので実際のワークフローは

「Logic で伴奏をバウンス → Synthesizer V に読み込んで歌わせる → wav を書き出して Logic に戻す」

という流れです。

 

トラック数が増える曲だと、むしろボーカルを別ソフトに分けておくほうが楽なので、いまはこれで割り切っています。

書き出したあとのミックスの手順は ボカロ曲のミックスのやり方 にまとめました。

 

もうひとつは、細かい操作にクセが残っていることですね。

少し前までは音符のオクターブを直接動かせなかったりして、いまは改善されていますが、それでも「ひと手間多いな」と感じる場面はあります。

 

ただ、こういうところはスクリプトで補える場合もあって、定型処理を足していけば気にならなくなります。

スクリプトは、個人の方がたくさん作っているので、ダウンロードしてください。

ブレス(息継ぎ)を入れるスクリプトなどは有用ですね。

Synthesizer V Studio 2 Pro のスクリプトパネル。定型処理を追加するスクリプトの一覧

 

そして、Synthesizer V だけでは完結しません

 

プロジェクトセカイやマジカルミライの楽曲募集は初音ミクを使う必要があって、初音ミクの声は Synthesizer V にはありません(ミクは VOCALOID6 や Piapro Studio 側)。

 

私はミク指定の曲だけ VOCALOID6 で作っています。

3つのエンジンを使ってきた順番とつまずきは VOCALOID6・Synthesizer V・Piapro Studio を実際に使った話 に書きました。

 

Synthesizer V Studio 2 Pro の音素タイミング編集。子音と母音の長さや発音位置を細かく調整している画面

 

最初に買う声はどれがいいか

Synthesizer V の声は、大きく2系統あります。

  • Dreamtonics 公式の声(Solaria、Mai など)。Plugin Boutique で買えます
  • 国内メーカーが出している声。重音テトは AHS、夢ノ結唱シリーズはブシロード、GUMI はインターネット社。これらは各社のストアで買います。

 

そのうえで、最初の1本として私が勧めるのは 重音テト です。

理由は、1本で幅が広いから。

力強さも、儚さも、可愛さもこなせて、ボーカルスタイルも多い。

昔でいう GUMI のような、どのジャンルでも基準にできる声です。

私がボカロを始めたのは、GUMIの影響です。弱虫モンブラン、セツナトリップ、ルートスフィア、天ノ弱など、GUMIの声が素晴らしかったのです。

 

今の重音テトは、その時を感じるほど、完成されていますね。

私自身、Synthesizer V で使っているのはいまのところテトだけですが、それで困ったことはありません。

 

テトのボーカルスタイルは、AHS の公式動画で一通り聴けます。

私は結構混ぜるのが好きなので、曲に合わせて、特徴を出すようにはしていますね。MiniとかLowとか好きですね。

 

「有名な声・人気の声を買うと再生数が伸びる」という話も見かけます。

 

知名度が入口として多少効くのは事実だと思いますが、そこ目当てで選んでも続きません。

長く使えるのは、自分が好きだと思った声 のほうです。

再生数が伸びない要因は声そのものより別のところにあることが多くて、それは ボカロ曲が伸びない理由伸びやすいジャンル・埋もれやすいジャンル に分けて書いています。

 

私はこの先、ブシロードの夢ノ結唱(AVER)と、Synthesizer V 版の GUMI を足したいと思っています。

ただ、曲を作るペースが月に1曲くらいなので、声は急いで増やさなくても回ります。

まずは1本、使い倒すのが先 です。

 

セールは待つ価値があるか

私の結論は「待たなくていい」です。

 

AHS は大きいセールを定期的にやっていて、お正月には Pro+声のセットが 8000円くらいまで下がることもあります。

 

金額だけ見れば魅力的ですが、私はそのタイミングで買えず、優待で18,700円くらいで買いました。

それで後悔しているかというと、していません。

 

ボカロをやるなら Synthesizer V は毎日のように起動する ので、数か月待つほうがもったいない、というのが正直な実感です。

 

いま作りたい曲があるなら、定価で買って今日から作り始めたほうがいい。

セールカレンダー的な話は プラグインの年間セールカレンダー にまとめていますが、こと歌声合成に関しては「使う頻度が高いものは待たない」でいいと思います。

 

無料版(Basic)との違いは?

正直に言うと、私は Pro しか使っていないので、無料版で「どこまでできて、どこで詰まるか」は検証できていません。

 

ただ、ここまで書いた Vocal Mode・AIリテイク・多言語 は、私が毎曲当たり前に使っている機能です。

これらをフルに使いたいなら Pro 一択で、そこは迷う必要がないと思います。

当たり前ですが、無料でできることは限りがあります。もし学生なら時間が自由にあるので無料もいいと思います。

社会人なら、時間をお金で買った方がいいです。

当たり前ですが、子供の時のように時間はないですからね。

 

まとめ:続けるつもりなら買っていい

  • Synthesizer V Studio 2 Pro は、打ち込みが速く、声もそのままで実用的。ボカロを続けるつもりなら買っていい
  • Vocal Mode と AIリテイク(私はほぼダブリング用)はほぼ毎曲使う。無料版で足りない人は Pro へ
  • Logic Pro との連携は期待しないほうがいい。スタンドアロンで書き出す運用になる
  • 最初の声は 重音テト を勧める。あとは愛着で選んでいい
  • セールは待たなくていい。使う頻度が高いソフトなので、今日から使えることの価値のほうが大きい

 

1曲目をどう作るかは はじめてのボカロ曲の作り方 に、音源をどうそろえるかは シンセの音作りの話(Pigments レビュー) にも書いています。

あわせてどうぞ。

 

Synthesizer V Studio 2 Pro を Plugin Boutique で見る →

 

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ABOUTこの記事をかいた人

Logic Pro で音楽制作をしています。インスト曲とボカロ曲を作りながら、DTM・プラグイン・ミックスで実際に試して分かったことを書いています。