ボカロ曲のカバーは著作権的にセーフ?伸びるとわかっていても私が踏み切れない理由

オリジナルのボカロ曲だけを出し続けていますが、なかなか伸びません。

 

一方で、まあまあ再生数を伸ばしている人を見ると、カバー(アレンジ)をやっている人が多いです。

自分はまだカバーをやったことがないが、正直「やった方がいいのでは」と切実に思っています。

今回はそんな部分を記事にまとめてみます。

 

カバーが強い理由

有名な曲は検索や関連動画に引っかかりやすく、再生数・インプレッションの桁が違います。

当たり前ですが。

 

普段オリジナル曲だと1000〜1万再生いくかどうかのところ、カバーだと100万近くまで伸びているのを見ることも多々あります

 

これはボカロ界隈に限った話ではありません。

インディーズバンドでも、オリジナルと並行して有名曲のカバーをやるのは普通のことで、コピーバンドに至っては最初から原曲のまま演奏します。

 

ボカロPは作曲が仕事なので少し立場が違うとは思っていますが、それでも「伸びるとわかっているものをやらない」のは、戦略としてはもったいない気もしています(ボカロ曲が伸びない要因についても以前まとめました)。

 

それでも編曲へ踏み切れない理由

ここからが本音の部分になります。

 

まず、編曲権がある以上、他人の曲を勝手にアレンジすることは本来できません

「ボカロPは自由にやっていい」という空気があっても、実際には原曲の権利者に許可を取るのが筋になります。

 

 

ただ、この「許可を取る」がそもそも気が引けます。

自分のような無名の人間が、有名な曲のアレンジをさせてほしいと言うのは、烏滸がましい気がしてしまいます

もし逆の立場で、自分が有名ボカロPで、無名の人からアレンジの許可願いが来たら、正直あまり相手にしたくないだろうな、とすら思います。

対等な立場であれば許可を取りやすいのだろうと思いますが、今の自分にはその対等さがありません(これが底辺ボカロPの辛い部分)。

 

それに、許可を取って編曲したところで、報われる保証はどこにもありません

時間をかけて作っても伸びないことは普通にあり得ます。

加えて、TuneCoreのようなサブスク配信サービスでは、カバー曲を自由に配信できるわけではありません。

結局YouTube(とニコニコ)だけの公開になる、というのも地味に寂しいところです。

 

実際に、こうしたルールを明文化しているアーティストもいます。下記画像です。

AnythingBecomeMoeによるカバー曲利用ガイドラインの声明。非営利のカバーはYouTubeでは許可されるが、Melon・Spotify・Apple Music等の音楽配信サービスへの無断登録は固く禁止と明記されている

 

理解を示してくれる人もいれば、ボカロ曲は自由にしていいんだと良いと言う人もいますね。

もともと日本では、権利無視の文化のため。

 

一応中身では、非営利目的及びYouTubeのコンテンツIDに引っ掛かればYouTubeで投稿はOKであるが、一方で勝手にTunecoreやSpotify的なもので配信することは禁止という話ですね。

ちなみにDeco*27さんとかは、非商用であれば基本オッケーのように緩くはありますね。

 

 

一方で、ルールなど気にせず好き勝手にカバー・アレンジを公開している人を見ると、正直羨ましく思う瞬間があります

今の若い世代には「法律は関係ない、やりたいことをやる」という空気を感じることも多いです。

自由に見えます。

しかし、それは本来ダメなことで、指摘されれば消さなければなりません。

その「消さなければいけないかもしれない」という負担を抱えてまでやる気にはなれない、というのが正直なところです。

 

権利まわりを整理する必要

自分の理解があやふやだったので、公式情報で確認した内容を整理しておきます(2026年時点)。

  • YouTube・ニコニコ動画などのUGCサービス:JASRAC・NexToneと契約が締結されているため、自分で歌う・演奏する程度のカバーであれば、投稿者が個別に許諾を取る必要はない
  • ただし「編曲」は別枠になりうる:NexTone公式には「編曲・訳詞・替え歌の場合は別途許諾が必要」という記載がある。つまり、原曲を打ち込みで大きく作り直す・曲調をがらっと変えるような「がっつりしたリミックス」は、著作権法上の編曲権に触れる可能性がある、という整理になる
  • カラオケ音源など第三者が作った音源をそのまま使うのはNG:原盤権者(レコード会社等)の許諾が別途必要
  • サブスク配信(TuneCore等):原曲がJASRAC/NexTone管理曲であれば作品コードの入力で申請できるが、自己管理の楽曲は権利者本人から許諾を得て証明書類を出す必要がある
  • X(Twitter)はJASRACと契約未締結:JASRAC管理楽曲を使った動画をXに投稿する場合は、個別にJASRACへの申請が必要になる

ニコニコ・ボカこれのようなイベントの場合は、また少し違う整理になります。

 

ボカこれのREMIX部門の規約には、応募作品は「応募者自身が権利を持っている、または全ての権利者の同意を得ているもの」という条件が明記されています。

 

つまり、最初から「この曲ならリミックスしていい」と許可された曲のリストの中から選ぶという、比較的クリーンな参加方法があります。

 

ボカこれ REMIX部門のランキングページ。671曲がエントリーしており、上位に個人クリエイターの作品が並ぶ

 

今のところの結論

ルールを守らずに好き勝手やっている人を見て羨ましく思う瞬間は、正直あります。

しかし、消される・怒られるリスクを抱えてまでやりたいとは思いません。

怒られるで済めばいいですが、場合によっては法的な問題になります。

 

だから今のところの結論は、ボカこれのREMIX部門のように、最初から許可されている枠の中に、自分が本当にやりたいと思える曲があれば、そこでやる、というものです。

無理に探すものではなく、これはいい!と思える曲に出会えたときの選択肢として置いておく、くらいの温度感でいます。

 

例えば、RiraNさんによる重音テトのリミックスのように、原曲の良さを残しながら自分の色を足している作品を見ると、素直に「こういうのをやってみたい」とは思いますね。

 

ryo(supercell)さんが自身の代表曲「メルト」を、初音ミクバージョンでセルフリミックスしている例もあります。

原曲を作った本人が手を加えているケースなので少し特殊ですが、同じ曲でもアレンジ次第でここまで印象が変わる、という参考になります。

 

アレンジをやるなら、自分の得意な方向で

もし実際にやるとしたら、アレンジは自分が得意なジャンル・好きな方向性にするのがいいと思っています。

無理に流行りに寄せる必要はなく、自分の作風を通した方が結局は続けやすいです(アレンジの引き出しという意味では、以前書いたコード進行の話も参考になるかもしれません)。

 

どのジャンルなら自分の色を出しやすいかは、以前書いた伸びやすいジャンル・埋もれやすいジャンルの話とも重なるところがあります。

 

余談ですが、2026年冬のボカこれでは、AI(Suno)で作られたとみられるレゲエ曲が1位を取ったようです。

 

人力でアレンジする意味があるのか、と一瞬考えてしまう時代になってきています

この辺りのAIとの向き合い方は、また別の記事で詳しく書きたいと思っています。

 

まとめ

  • カバーは有名曲の力を借りられる分、再生数・インプレッションの伸びが桁違いになりやすい
  • ただし編曲権があるため、勝手なアレンジは本来NG。YouTube等の包括契約は「自分で歌う・弾く」程度のカバーが対象で、がっつりしたリミックスは別枠になりうる
  • サブスク配信は原則許可が必要で、TuneCoreなどでの自由な配信はできない
  • ボカこれのREMIX部門のような、最初から許可されている枠を使うのが、今のところ一番現実的な選択肢

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ABOUTこの記事をかいた人

Logic Pro で音楽制作をしています。インスト曲とボカロ曲を作りながら、DTM・プラグイン・ミックスで実際に試して分かったことを書いています。