前の記事の最後で少し触れましたが、2026年冬のボカこれでは、AI(Suno)で作られたとみられるレゲエ曲が1位を取ったらしいです。
正直、ボカコレで何度もAI勢に負けている実感があります。
だったら自分でも試してみるべきだろう、と思って、実際にSunoを使い倒してみました。
結論から言うと、100曲近く作って、一度もYouTubeにもボカコレにも投稿してはいません。
今回はその理由を、良かった点も含めて正直に書きます。
Sunoとは
Sunoは、テキストで指示するだけで曲がまるごと生成されるAI作曲サービスです。
VOCALOIDやSynthesizer Vのような歌声合成とは別物で、歌詞もメロディも伴奏も、曲の要素すべてをAIが一括で作ります。

無料でも試せますが、生成数を増やすには有料プランが必要です。
ボカロ・ポップ・EDM・インスト、100曲近く作ってみた
ジャンルを絞らず、ボカロ調・ポップ・EDM・インストと幅広く試して、体感で100曲近く生成しました。
下記はインスト用に作った音楽ですね。

クオリティは、普通にアニメでかかっていてもおかしくないレベルだと思います。
ただ、それでも「AIっぽさ」がどうしても抜けません。
バッキングの質感、イントロやアウトロの展開、サビの盛り上がり方まで、どれも「よくある感じ」に着地してしまいます。
悪くはないけど、ほとんどは印象に残らない。
そんな曲がたくさん並びました。
そして、曲を聞けばAIだなと分かる形です。
もちろん、一部だけとてもいいという曲もあります。
しかし、その曲は編曲すると、Tunecoreでの配信にぶつかります。これは後述します。
一度も投稿していない理由
これだけ作っておいて、YouTubeにもボカこれにも一度も投稿していません。
理由は単純で、面白くないからです。
そして、もし気に入った曲が出てきても、結局それをちゃんとした形にするには自分で編曲し直す必要が出てきます。
それなら最初から自分で作るのと手間が変わらない、という結論になってしまいました。
また後述しますが、Tunecoreでは、AI Sunoをちょっとでも使った曲はAIと認定され、権利の許可がおりません。
例えば、AI Sunoで作った気にいったメロが5音だけあり、それを編曲の人に依頼して、全て人力で作ってもアウトです。
Suno自体の使い方は、公式チャンネルの解説がわかりやすいので貼っておきます。
権利まわりの怖さ
一番引っかかったのは、権利まわりです。
TuneCoreのようなサブスク配信サービスにSuno製の曲を出そうとすると、AI生成であることの申請が必要になります。

そして、そのAI申請をすると、著作権が実質手放しに近い扱いになり、YouTubeのコンテンツIDも付きません。つまり、誰かが自分の曲を勝手にアップロードしても、こちらには止める手段がほとんどない、ということです。
ボカロ曲は、前回の記事でも書きましたが、権利はガバガバな事が多いです。
日本の同人文化がありますが、あれは世界的に見ると違法で、権利の侵害にあたります。
しかし、ボカロ文化も同人文化として、人気ボカロ曲はみんなものであり、自由に使っていいという風潮です。そのため、多くの人がYouTubeで好き勝手にあげます。
しかし、YouTubeだとコンテンツIDが作動し、大きく編曲していないもの、もしくは歌ってみた以外の動画などに関しては、権利者に収益がいきます。
レーベルに所属していない自分のような立場だと、これは結構痛い条件です(これについてもちょっと後述します)。
悪意のある人がいれば、それだけでやられてしまいます。
もちろんAIを使っていてもAI申請しないという作戦があります。
しかし、リスクを考えると、あまり気がすすみません(他の人と曲や歌メロが被るリスクもあるため)。
ちなみに私はボカロ曲をTunecoreで配信していますが、10曲に1曲ぐらいは、AIじゃないか?と検知され、審査が通りません。
その際は、AIで作ってないと言い張り、Dawのデータなどを全て送り審査を通します。
それだけTuncoreは厳しくやっているイメージですね。
また、一つ気になる事があります。
あるボカロ曲でバズったものが、AIで作ったと言われています。
その曲はTunecore経由の配信なのですが、AI申請はしていないようでした。
コンテンツIDが機能しているので。
そのため、JASRACで著作権を調べると、とあるレーベルになっておりました。
その曲が本当にAIで作ったかは分かりませんが、レーベル経由で申請すると、AIであっても大丈夫な気がします。
というのも、有名アーティストも、AIで作っていると公言している方もいますが、その方達のコンテンツIDなどは機能しているのは確認しました。全てを確認したわけではありませんが。
さらに言うと、他の人が作ったAI曲と自分の曲がたまたま被ってしまうリスクもあります。
AIは似たような傾向の曲を生成しやすいので、これは人力の作曲よりも起こりやすい気がしています。
ちょうど最近、業界側もAIとの距離感を試行錯誤しているというニュースを見かけました。
TuneCoreの親会社であるBelieve社は、2026年4月に「必要なライセンスを得ていない」としてSuno生成曲の配信を一度ブロックしたものの、その約4ヶ月後には一転してSuno社と戦略的パートナーシップを結んだそうです(アーティストがオプトインで参加し、対価の支払いや透明性確保の仕組みも導入するとのこと)。Believe社とSunoの提携について(Yahoo!ニュース)
業界自体がAIに対してまだ一進一退、というのが今の実情なんだと思います。
AIにやらせると、自分のやる気がなくなる
もうひとつ、これはかなり個人的な理由ですが、AIに作らせるなら自分がやる意味がなくなってしまう、という感覚があります。
作曲は自分にとって、面白いから続けているものです。
それを丸ごとAIに渡してしまうと、続ける理由そのものが薄くなる気がしています。
ただ、再生数も欲しいというのが正直なところなので、あまりにもAIで作っている人に負け続けたら、AIで作った方がいいようには感じております。
今のところは使わない、という結論
というわけで、いまのところSunoは使わないという結論です。
クオリティが微妙とか、そういう話だけでなく、権利面のリスクと、自分のモチベーションの両方を天秤にかけて割に合わないと判断しました。
ただし、これは今の話です。
もし今後、再生数が本当にまったく伸びないままだったら、最後の手段として使う可能性はあると思っています。
売名や認知目的が最優先なら、選択肢としてはアリだとも思っています。
今の自分は、AIに丸投げするより、自分でコード進行やアレンジの引き出しを増やす方に力を入れています。
実際に使っていたのはこちらです。
Scaler 3 を Plugin Boutique で見る →
まとめ
- Sunoでボカロ・ポップ・EDM・インストと100曲近く作ったが、一度もYouTube・ボカこれには投稿していない
- クオリティは悪くないが「よくある感じ」のAIっぽさが抜けない。結局自分で編曲し直すなら手間は同じであるが、配信の際に権利が取得できなくなる。
- TuneCoreでAI申請をすると著作権が実質手放しになり、コンテンツIDも付かない。レーベル未所属だと特に痛いリスク(レーベルでの申請の有無は未確認であるが、もしかしたらレーベルによってはオッケーか?)
- AIに作らせると自分のやる気がなくなる、という個人的な理由も大きい
- 今のところは使わない。ただし再生数が本当に伸びなければ、最後の手段として検討する余地はある
私自身、AI作曲は嫌いですが、時代の流れ的に使った方がいいとは思っております。
実際に、歌詞などは、気に入らない部分は、その歌詞の類義語などはAIでざっと出すことは使っているので、これは人によってはAI作曲と言われるかもしれません。
だから、時代の流れで今後、AIの需要は増えていくはずです。それを使いこなせるかは別として。
権利などの問題は今まで挙げてきましたので、そのリスク両面を考えていただければと思います。





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