曲を1曲出すと、大体1つは「パクリ」というコメントがつきます。
何の曲のパクリなのかは、ほとんど書かれません。
ただ「パクリ」とだけ。
もう何度も経験しているので、最近はコメント欄を見た瞬間に「あ、今回も来てるな」というくらいの温度で受け止めています。
【 ボカロPあるある 】
「 その曲、パクリじゃない? 」
と言われたとき…#ボカロPさんと繋がりたい pic.twitter.com/C2flbzGnbK— nedoko@ボカロP (@nedo_ko10) May 24, 2026
同じような経験をしているボカロPは自分だけではなさそうです。
今回は、この「中身のないパクリコメント」の正体について、自分なりに考えたことを書いておきます。
誰のパクリかは、大抵書かれない
コメントの傾向を見ていると、文章の稚拙さから、おそらく10歳前後くらいの子どもが書いているのではないかと思っています。
「〇〇のパクリ」と具体的な曲名まで書かれることはまずなく、本当にただ「パクリ」の一言だけ。
初音ミクの声を使っていることも関係しているかもしれません。
ミクの声を聴いて、真っ先に有名なボーカロイドPの曲を連想する人は多いはずです。
声が同じだから、DECO*27さんのような有名Pの曲を無意識に思い浮かべて「パクリ」と書いているのでは、というのが自分の推測です。
「批判できる自分」に価値を感じているだけかもしれない
自己啓発系の本などでよく見かける話ですが、人を批判できる人間は、周りから有能に見られやすいという側面があるそうです。
もしこれが本当なら、具体的な根拠もなく「パクリ」とだけ書く行為は、批判した相手を貶めたいというより、書いた本人の自尊心のための行動なのかもしれません。
あくまで自分の仮説ですが、そう考えると腑に落ちるところがあります。
もっとガチのパクリのボカロを数曲知ってる身としてはこれをパクリというなら世の曲の8割がパクリになる https://t.co/XmPdgFHp6o
— milktear /こん🌌🥛💧 (@pre_hoshizora) December 20, 2025
「パクリ」というジャッジの基準は、実際にはこれくらい曖昧なものだと思います。
流行の型に引っ張られると、みんな似て見える時期がある
ボカロ曲には、その時々で流行の型があります。
特定の作家のメロディの作り方が流行った時期は、似たような雰囲気の曲が一気に増えます。
これは誰かが誰かをパクっているというより、流行にみんなが引っ張られているだけの現象のはずです。
n-buna節が大流行してた時代のボカロは全部「パクリ」になっちゃうもんな https://t.co/XPZTSpRvfp
— マウス (@Mousemouse00) January 12, 2026
流行の型に乗ること自体は悪いことではなく、むしろ多くの人に届きやすいメリットもあります。
ただ、それが「パクリ」呼ばわりの燃料になりやすいのも事実だと思います。
時系列すら見ずに「パクリ」と言われることもある
もっと極端な例もあります。
『犬夜叉』と『鬼滅の刃』は、実際には犬夜叉のほうが先に発表された作品です。
それにもかかわらず、SNSや漫画のコメント欄では「犬夜叉が鬼滅の刃のパクリ」という、時系列が逆転したコメントが普通に流れてきます。
「犬夜叉」が3日間全話無料らしい。55巻を3日間で読むのは厳しい笑
しかし、「犬夜叉」に対して、「鬼滅に似てる」「鬼滅のパクリだ」というコメントが湧いてるのには目眩がするね。
— 安藤哲也|まちづくりゲームカタログ著者 (@tetsushiki) September 10, 2026
犬夜叉は好きなので、正直びっくりです。
これくらい有名な作品でも、こういうことが平気で起こります。
「パクリ」という言葉が、どれだけ軽く使われているかがよく分かる例だと思っています。
プロでも、無意識に似てしまうことがある
意図的なパクリと、無意識の一致は別の話です。
2026年には、日本のインディーズバンドの新曲が韓国の著名なシンガーソングライターの代表曲に似ていると報じられ、話題になったことがありました(RecordChinaの記事)。
バンド側は「部分的にメロディーが似ていることには自分たちも驚いた」としつつ、「制作時にはその楽曲を知らなかった」と説明しています。
真偽はともかく、プロとして活動しているバンドでも、無意識の一致は起こり得るという一例だと思います。
私は偶然の一致だと思います。気持ち良いメロとは大体決まっているので。基本上行になりやすいと思いますしね。
同じような体験を綴っている同業のボカロPもいます。
ういとんさんのnote記事では、夢の中で降ってきたメロディをそのまま曲にしたら、後から別の曲のフレーズにそっくりだったことに気づいた、という体験が正直に書かれています。
狙ってパクるより、無意識に似てしまうケースのほうがずっと多いはずだ、というのが自分の実感とも一致します。
そもそも、コード進行は他人と被って当然
もう少し理屈っぽい話もしておきます。
例えばCのコードを鳴らしているとき、メロディはコードの構成音であるC・E・Gのどれかに乗ると自然に聴こえます。
特に小節の1拍目・3拍目は、コードトーンに乗せる作り方が定番です。私はそうやって作ってます。
つまり同じコード進行を使えば、メロディの骨格が他人と近づくのは理論上ごく普通のことだとは思っています。
コード進行の記事にも書きましたが、自分は定番進行を一通り試して回ったタイプです。
Scaler 3を開くと「Common Progressions」という項目があり、よく使われる進行がプリセットとしてまとめられているのがよく分かります。


こうやってソフト側が「定番」としてプリセット化しているくらいなので、進行が被ること自体は、誰のせいでもありません。
気にしすぎないための、自分なりの対策
とはいえ、何も対策していないわけではありません。
自分の場合は2つのことを意識しています。
1つ目は、歌詞の情報量を増やすことです。歌詞の分量や描写が多いほど、曲全体の印象は「メロディだけ」では決まりにくくなる気がしています。当たり前ですが、50の文字より、1000文字の方が一致させるのはむずいと思っております。イメージはwowakaさん。こう書くと、パクっているとまた言われてしまうかもしれませんが。
2つ目は、サビの型をいつも同じにしていることです。
自分の場合、サビの特定の場所で必ずメロディを跳躍させて上行させる、という作り方を毎回続けています。
これは「パクリ」と言われないための予防というより、仮に何か言われたときに「これはいつもの自分のパターンです」と説明できる材料を持っておく、という意味合いのほうが大きいです。
一応裁判で説明できるように、毎回メロは、ほぼ似た形ですね。たまに、下降するメロにもなりますが。
まとめ:中身のない一言に振り回されなくていい
曲を出すとほぼ毎回のように「パクリ」とだけ書かれます。
具体的な根拠が示されることはほとんどなく、コード進行の構造上、他人と似ること自体は避けられない部分もあります。
プロでも無意識の一致は起こると思っておりますし、実際そうだと思います。
そう考えると、根拠のない「パクリ」の一言に振り回されて曲を引っ込める必要はないはずです。気にしすぎず、出し続けるのが一番だと思っています。
あるひとは、パクりと言われ、その部分を作り直していました。ただ、それを毎回するのも大変なので、あまりにも一致していなければ、いいのではないかと思いますね。
例えば、柊マグネタイトさんと、ピノキオピーさんの曲で、「好き好き大好き」、という歌詞が出てきます。これは一致していますが、別に二人とも何も言いませんし、よくあるフレーズだなと思いますね。
気にしすぎも良くない気がしております。







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