ボーカルのミックスを調べると、たいてい「ディエッサーは必須」と書いてあります。
サ行の「シー」「スー」という耳に刺さる系の音を抑えるためのエフェクトです。
でも、ボカロの声に挿してみて「正直、そんなに変わらないな」と感じた人もいるのではないでしょうか。
私もそうでした。
私は Logic Pro で、初音ミク・GUMI・重音テトを使って曲を作っています。
この記事では、ボカロでディエッサーがどこまで要るのかを、私の体験から正直に書きます。
先に結論を言うと、ボカロなら Logic 純正の DeEsser 2 で十分だと思っています。
そのうえで、私がディエッサーを何回か替えてきた流れと、EQ・コンプとの順番、人の歌との違いもまとめました。
いま私のボーカルでディエッサーの役目をしているのは、Three-Body Technology の SpecCraft です。
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ボカロの声で、サ行が刺さって困ったことはほとんどない
初音ミク・GUMI・テトで曲を作ってきて、歯擦音(サ行の刺さり)が気になったことは、ほとんどありません。
ボカロは、人よりも発音がきれいなのだと思います。
息が強く当たって「サ」が鋭くなったり、破裂音が飛び出したりといったことが、人の歌に比べて起きにくいんだと思います。
だから、ディエッサーで強く抑えなければいけない場面にも、あまり出会いませんでした。
もちろん、まったく出ないわけではありません。
歌詞が破裂する音ばかりで続く(「パッパッパ」のような)ときや、わざと変わった発音をさせたときには、出てくることがあります。
ただ、ふつうの歌詞をふつうに歌わせている限り、サ行が原因でミックスに困ったことは、私はありません。
ただ私の耳が悪いだけかもしれませんが。
気になったのは、サ行よりも「なんとなく聞きにくい」こと
それでも私がディエッサーを挿すようになったのは、ボカロの声の聞こえ方が気になったからです。
サ行がはっきり刺さるというより、高いところが少しだけ耳につく、なんとなく聞きにくい感じがありました。
最初に使ったのは、Logic に最初から入っている DeEsser 2 です。

これは DeEsser 2 を、デフォルトプリセットのまま開いた画面です。
真ん中の「Threshold」が、どのくらいの大きさから抑え始めるかを決めるつまみです。
「Frequency」は、どのあたりの高さの音を狙うか(この画面では約7,000Hz)を決めます。
「Max Reduction」は、いちばん大きく抑えたときに何dBまで下げるかの上限です。
左のメーターの「REDUCTION」を見ると、いまどれだけ抑えているかが分かります。
「Filter Solo」をオンにすると、抑えようとしている帯域の音だけを聞けるので、狙いがずれていないかを確かめるときに便利です。
DeEsser 2 は、Logic の純正だけでボーカルのチェーンを組むときにも、そのまま使えます。

Channel EQ、Compressor、DeEsser 2、ChromaGlow の4つだけで組んだ純正のチェーンです。
ボカロなら、ディエッサーはこの DeEsser 2 でまったく問題ないと思います。
DeEsser 2 から SpecCraft まで替えてきたけれど、大きくは変わらなかった
ディエッサーは、これまでに何回か替えてきました。
Logic の DeEsser 2 から始めて、FabFilter Pro-Q 4 のディエッサー用プリセット、ときどき Pro-C 3 のディエッサー機能を使い、いまは SpecCraft の De-Esser のモードに落ち着いています。

SpecCraft は、もともとは耳につく共鳴を見つけて抑えるプラグインです。
これをボーカルに挿して、ディエッサーの代わりにしています。
では、DeEsser 2 から SpecCraft に替えて音がどれだけ変わったかというと、正直そこまで変わっていません。
聞きにくさが少し良くなったかな、という程度です。
ボカロの声はもともとサ行が暴れにくいので、ディエッサーを高いものにしても、差が出る場面が少ないのだと思います。
ディエッサーは、急いで有料のものにしなくていい部分だというのが今の考えです。
SpecCraft の使い方や、ディエッサー以外の使いみちはSpecCraft のレビューに、Pro-Q 4 のプリセットを使っていた頃のことはPro-Q 4 のレビューに書いています。
順番は EQ → コンプ → ディエッサー。いちばん扱いやすかった
ディエッサーを挿す場所は、EQ とコンプの後ろにしています。
Pro-Q 4 → Pro-C 3 → ディエッサー(SpecCraft)の順番です。

画面の上から3つ目と4つ目が Pro-Q 4 と Pro-C 3、その次が SpecCraft です。
この並びにしているのは、私にとってこの順番がいちばん扱いやすかったからです。
ディエッサーをコンプの前に置く人もいて、どちらが正解というものではありません。
迷ったら、まずは EQ → コンプ → ディエッサーで挿してみて、気になるところがあれば入れ替えて聞き比べてみてください。
ボーカルのチェーン全体の順番と、それぞれのプラグインの役目は、こちらにまとめています。
人の歌(歌ってみた)なら、もっと強くかけることになる
ボカロと人の歌では、ディエッサーのかけ方は多少変わると思います。
人の声は、息の当たり方や口の開き方で、サ行や破裂音が強く出ることがあります。
ボカロはきれいに発音してくれるぶん、そういう音が出にくいはずです。
そのため、歌ってみたや自分の歌を録って混ぜるときは、ボカロよりも強めにかけることになるはずです。
「ディエッサーは必須」と書かれている記事の多くは、人の歌を前提にしているのだと思います。
ボカロの場合は、人の歌向けの強さをそのまま当てはめなくていいと思います。
私のように、聞きにくさが気になったところで軽くかけるくらいで足りることが多いはずです。
ボーカルが埋もれる・浮くといったミックス全体の悩みは、ボカロ曲のミックスのやり方にまとめました。
次に欲しいのは、FabFilter Pro-DS
ここまで「ボカロならそこまで要らない」と書いてきましたが、ディエッサーで1つ欲しいものはあります。
FabFilter の Pro-DS です。
私はボーカルに Pro-Q 4 と Pro-C 3 を使っているので、同じ FabFilter のディエッサー専用のプラグインには興味があります。
SpecCraft の次に替えるなら、共鳴を抑えるタイプよりも、こういうディエッサー専用のものを試したいと思っています。
これは FabFilter 公式の Pro-DS の紹介動画です。
Pro-DS はまだ持っていないので、ここからは公式の説明と動画で分かることだけを書きます。
Pro-DS には、1本のボーカルのサ行を見分けて抑える「Single Vocal」と、ドラムやミックス全体の高い音を抑える「Allround」の2つのモードがあります。
全体の音量を下げる「Wide band」と、高い帯域だけを下げる「Split band」も選べます。

ただ、ボカロだけで曲を作っている私には、今すぐ必要なものではありません。
人の歌を録って混ぜる人や、サ行で本当に困っている人なら、候補に入れていいと思います。
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まとめ:ボカロなら、まずは純正の DeEsser 2 で十分
ボカロの声は発音がきれいなので、サ行が刺さって困ることはあまりありません。
私は DeEsser 2 から SpecCraft まで替えてきましたが、聞きにくさが少し良くなった程度で、大きな違いは感じていません。
だから、これからボカロのミックスを始める人は、まずは Logic の DeEsser 2 を軽くかけるところから始めれば十分です。
順番は EQ → コンプ → ディエッサーにしておくと、私は扱いやすかったです。
人の歌を混ぜるようになったり、サ行がどうしても気になったりしたときに、SpecCraft や Pro-DS のような有料のものを考えればいいと思います。
この記事で触れたプラグインは、下から見られます。
FabFilter Pro-DS を Plugin Boutique で見る →
SpecCraft を Plugin Boutique で見る →
FabFilter Pro-Q 4 を Plugin Boutique で見る →
FabFilter Pro-C 3 を Plugin Boutique で見る →







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