LogicのStem Splitter(ステムスプリッター)で完璧に分けるのはできない?|Sunoの曲を分けて編曲したボカロPが、軽く試すなら十分と思う理由

完璧に分けたいなら、Logic Pro の Stem Splitter では足りません。

それでも、ちょっと分けて聞いてみたいだけなら、Logic に入っているこの機能で十分だと私は思っています。

 

私が使ったのは、AI の Suno で作った曲を、パートごとに編曲し直したかったときでした。

この記事では、そのとき分けてみて感じたことと、Apple 公式の手順、そして今は使っていない理由を書きます。

 

Stem Splitter は、混ざった1本の音をパートごとに分ける機能

Stem Splitter は、Logic Pro に入っている機能です。

ボーカルや楽器がまとめて入った1本のオーディオから、ボーカル・ドラム・ベース・ギター・ピアノ・その他を、別々のトラックとして取り出せます。

 

使えるのは、M1 以降の Apple シリコンを積んだ Mac だけです。

Intel の Mac では使えないので、そこは先に確かめておいてください。

 

Appleサポートの「Mac用Logic ProでStem Splitterを使ってボーカルや楽器のステムを抽出する」のページ。M1以降のAppleシリコン搭載のMacで利用できると書かれている

 

最初に出たときは、ボーカル・ドラム・ベース・その他の4つに分ける機能でした。

2025年5月のアップデートで、ギターとピアノも分けられるようになり、古い録音やデモからより細かく取り出せるようになったと Apple は発表しています。

 

Appleニュースルームの2025年5月28日の発表「Logic Pro、先進的な新機能によりMacとiPadでのビート作成をさらに強化」。強化されたStem Splitterが紹介されている

 

なお、人の曲を分けた音をそのまま公開するのは、カバーやリミックスと同じ権利の話になります。

権利の考え方はボカロ曲のカバーと著作権の記事にまとめています。

 

私が使ったのは、Suno の混ざった曲を編曲し直したかったとき

Suno で曲を作っていたころ、もう少し曲を作り込みたくて、パートを分けたくなったことがありました。

当時の Suno は、まだパートごとに分けて出すことができず、ボーカルもベースも1本の音に混ざっていたんです。

 

そこで Stem Splitter を使って、ボーカルやベースを別々のトラックに分けました。

分けたあとは、それぞれのパートを編曲し直すつもりでした。

 

分けるときに出てくるのが、この画面です。

 

Logic ProのStem Splitterの画面。プリセット「すべてのステムを分割」で、ボーカル・ドラム・ベース・ギター・ピアノ・その他にチェックが入り、下にサブミックスの欄がある

 

上の「プリセット」で分け方を選び、取り出したいパートにチェックを入れます。

チェックを外したパートは、下の「サブミックス」に1本にまとめて取り出すこともできます。

 

Apple 公式の手順:右クリックから「処理」>「Stem Splitter」

操作はシンプルで、Apple のサポートページでは次の流れで説明されています。

  • トラック領域で、分けたいオーディオリージョンを Control キーを押しながらクリック(右クリック)する
  • メニューから「処理」>「Stem Splitter」を選ぶ
  • 出てきた画面で、プリセットを選ぶか、パートごとのチェックを入れたり外したりする
  • 「適用」をクリックする

 

適用すると、元のトラックの下にフォルダのようなまとまり(サミングスタック)ができて、分けたパートが1本ずつ並びます。

元のリージョンはミュートされるので、そのまま分けた音を聞き比べられます。

 

Stem Splitterを適用した後のLogic Proのトラック。元のトラックの下にステムのフォルダができ、ボーカル・ドラム・ベース・ギター・ピアノ・その他の6本に分かれている(ボーカルだけの素材なので波形があるのはボーカルのみ)

 

この画面は、ボーカルだけの素材に Stem Splitter をかけたときのものです。

なので波形が入っているのはボーカルだけで、ほかの5本は空になっていますが、6本のトラックに分かれる様子は分かると思います。

 

分けたパートは、ふつうのオーディオリージョンと同じように、動かしたり、コピーしたり、編集したりできます。

画面の流れは、こちらの解説動画でも見られます。

 

 

分けた音の印象:精度は低く、完璧は無理

分けた音を聞いたときの印象は、「精度は低い」でした。

その印象は今も変わっていなくて、Logic の Stem Splitter で完璧に分けるのは無理だと思っています。

 

本気でパートを分けたいなら、AI でパートを分けてくれるサイトがあるので、そちらを使ったほうがいいです。

逆に、どんな音が入っているか聞いてみたい、軽く試してみたい、くらいなら Logic の Stem Splitter でも十分です。

 

Logic を持っていれば追加のお金はかからないので、まず試してみて、物足りなければほかの方法を探す、という順番でいいと思います。

 

今は使っていない理由:TuneCore で配信するなら AI の曲は避けたい

今の私は、Stem Splitter を使っていません。

パートを分けること自体をしなくなりましたし、今は Suno のほうでもパートごとに分けて出せるようになっていたはずです。

 

もうひとつ大きいのが、配信のことです。

私は TuneCore で曲を配信していますが、AI を使った曲は、YouTube の Content ID に登録できなくなると理解しています。

 

TuneCore Japan のヘルプでも、Content ID に登録できない曲の一覧に「生成AI楽曲」が入っています。

 

TuneCore Japan ヘルプセンター「YouTube コンテンツ収益化サービス 登録できない楽曲は?」の一覧。フリー素材などの音源を含む楽曲(GarageBandのループ音源素材・サウンドエフェクト音源素材・生成AI楽曲など)が対象外とある

 

なので、TuneCore で配信するつもりがあるなら、Suno で作った曲を分けて使うのはやめたほうがいい、というのが私の考えです。

YouTube に投稿するだけなら、そこまで気にしなくていいと思っています。

 

条件は変わることもあるので、配信する前に TuneCore Japan の公式ヘルプで確かめておくと安心です。

Suno で100曲近く作っても一度も公開しなかった理由は、Suno で作ってみた記事に書いています。

 

Logic のループ素材でも、私は同じ Content ID のことで引っかかりました。

 

LogicのApple Loopsは曲に使っていい?|最初の曲で使い、TuneCoreのContent IDで登録できなかったボカロPの考え

 

まずは Logic で軽く分けてみて、足りなければ次を考える

Stem Splitter は、完璧な分離を期待すると物足りない機能です。

それでも、混ざった音の中に何が入っているかを確かめたり、パートを取り出して試しに編曲してみたりするには、Logic を開けばすぐ使えるのが強みです。

 

M1 以降の Mac で Logic を使っているなら、まず手元の音で一度試してみてください。

Suno の曲から自分の手で作る方向に移りたくなったら、Suno から自分で作り始める記事も参考になると思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

Logic Pro で音楽制作をしています。インスト曲とボカロ曲を作りながら、DTM・プラグイン・ミックスで実際に試して分かったことを書いています。