ダイナミックEQの選び方|Pro-Q 4を使うボカロPが、X-DynEQ・Nova GE・Smooth Operator Proと比べて「最初の1本」を決めた

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ダイナミック EQ を1つ選ぶなら、私は FabFilter Pro-Q 4 を勧めます。

使いやすく、最初から入っているプリセットが多いのが助かったからです。

 

ただ、Pro-Q 4 は EQ としては高い部類です。

そこで、私が持っている Pro-Q 4 と、気になっている3本(SSL X-DynEQ・TDR Nova GE・Smooth Operator Pro)を、表と私の見立てで比べました。

 

予算を抑えたい人や、自分で点を置かずに任せたい人の選び方も書いています。

 

FabFilter Pro-Q 4 を Plugin Boutique で見る →

 

ダイナミックEQは、出すぎたときだけ削るEQ

普通の EQ は、決めた帯域をずっと同じだけ削ります。

ダイナミック EQ は、その帯域の音が大きくなった瞬間だけ削り、静かなときは触りません。

 

私が初めて使ったのは、ボーカルでした。

使ってみた感じは、帯域ごとにかけるコンプとほぼ同じです。

 

飛び出しすぎたところを自然にならしてくれるので、耳が痛くなりません。

曲の間ずっと耳が痛いわけではなく、痛くなったときだけ抑えて、普段は削らない、というバランスを取ってくれるのがとても良かったです。

 

歌声合成のボーカル(重音テト)のトラックに挿したPro-Q 4。色の帯が、音の大きさに合わせてバンドが上下に動く幅を示している

 

特にサビでは、声のある帯域が目立ちすぎるのに、ほかの場所ではそこまで削りたくないことがよくあります。

本当はオートメーションを書けばいいのですが、毎回書くのは面倒です。

 

ダイナミック EQ なら、「大きくなったらここを下げる」と先に予約しておけるので、とても楽になりました。

削るだけでなく、音が足りないときに持ち上げる使い方もできます。

 

4本を表で比べる

まずは違いを表にまとめます。

価格は Plugin Boutique の通常価格のおおよその目安で、セールのときはもっと下がります。

 

項目FabFilter Pro-Q 4SSL X-DynEQTDR Nova GESmooth Operator Pro
やり方自分で点を置く自分で点を置く自分で点を置く自動で出すぎた所を見つける
ダイナミックにできるバンド最大24個(ベル型とシェルフ型)最大24個(ベル型とシェルフ型)6個+ハイパス・ローパス点の数ではなく全体をならす
ほかのトラックをきっかけに動かすできるできるできるできる
通常価格の目安3万円台1万円台後半1万円前後2万円台前半
私の立場持っていて毎日使う持っていない持っていない持っていない
向くと思う人使いやすさとプリセットで選びたい人高い EQ をまだ持っていない人ダイナミック EQ を安く試したい人曲ができていて仕上げを任せたい人

 

上の3本は、自分でバンドを置いて「どこを、どれくらい」を決める道具です。

Smooth Operator Pro だけは、出すぎた所を自動で見つけてならす、少し性格の違う道具です。

 

FabFilter Pro-Q 4:使いやすさとプリセットで、最初の1本に勧める

Pro-Q 4 は、私が全部のトラックに挿している EQ です。

公式の説明では、バンドは最大24個まで置けて、ベル型とシェルフ型のバンドはどれもダイナミックに切り替えられます。

 

私の使い方で一番多いのは、ボーカルをきっかけにして、コード楽器の真ん中の帯域を削ることです。

歌っている間だけコードが少し下がるので、声の通り道ができます。

 

ピアノで 4000Hz あたりが耳に痛くなったときにも、ダイナミックのバンドを1つ置いて、痛い瞬間だけ下げています。

 

Logic Proのピアノのトラックに挿したPro-Q 4。4000Hzあたりにダイナミックのバンドを1つ置き、緑の帯の幅で、大きくなった瞬間だけ下がるようにしている

 

これから1つ買う人に勧めるなら、やはり Pro-Q 4 です。

操作が分かりやすく、楽器ごとのプリセットから入れるので、何をすればいいか迷いにくいと感じています。

 

公式の紹介動画で、ダイナミックのバンドの動き方も見られます。

 

実際の操作の手順は、こちらにまとめています。

FabFilter Pro-Q 4の使い方|まずローカット、削る場所は耳と目安で探す。ボーカルは削りすぎないボカロPの手順

 

SSL X-DynEQ:Pro-Q 4を持っていない人の、もう1つの候補

X-DynEQ は、SSL のダイナミック EQ です。

公式の説明では、バンドは最大24個、フィルターの形は20種類あり、ほかのトラックの音をきっかけに動かすこともできます。

 

SSL X-DynEQ の画面。カーブの点の上に、しきい値・レシオ・アタックなどダイナミックの設定窓が開き、下に鍵盤で帯域を示す表示がある(Plugin Boutique の製品画像)

 

動画で見たとき、画面の作りが Pro-Q 4 にかなり近いと感じました。

Pro-Q 4 を持っている私には要りませんが、先に知っていたら、EQ はこちらでもよかったかもしれません。

 

向くのは、FabFilter のような高い EQ をまだ持っていない人だと思います。

SSL 公式の動画で、操作の流れが見られます。

 

 

SSL X-DynEQ を Plugin Boutique で見る →

 

セールの来かたは、X-DynEQとG3 MultiBusCompの記事にまとめています。

 

TDR Nova GE:ダイナミックEQを安く試したい人に

Nova GE は、Tokyo Dawn Labs のダイナミック EQ です。

公式によると、ダイナミックにできるバンドが6つと、ハイパス・ローパスのフィルターが入っています。

 

バンドが4つの無料版(TDR Nova)もあり、Nova GE はその上の有料版です。

 

TDR Nova GE の画面。6つのバンドの2番目でTHRES(しきい値)とRATIOを使い、低い帯域が音の大きさに合わせて動くように設定されている(Tokyo Dawn Records 公式)

 

正直なところ、画面を見た第一印象は「古いな」でした。

昔のパラメトリック EQ のような見た目で、Pro-Q と Pro-C がある私には要らない道具です。

 

ただ、FabFilter が高くて手が出ない人が、最初のダイナミック EQ として使うのは十分ありだと思います。

ダイナミック EQ としての中身は大きく変わらず、違うのは見やすさや数字の扱いやすさくらいではないか、というのが私の印象です。

 

公式の紹介動画で、無料版と GE 版の両方が見られます。

 

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Smooth Operator Pro:自分で点を置かずに任せたい人に

Smooth Operator Pro は、Baby Audio の、出すぎた帯域を自動で見つけてならす EQ です。

目指すカーブを決めて、大きなつまみを回すだけで動き始めます。

 

Smooth Operator Pro の画面。左に大きなしきい値のつまみと Setup・Focus・Comp・Imaging などの切り替え、右に目指すカーブを決める点が並ぶ

 

画面がかわいらしく、つまみが少ないので、ある程度は任せられそうだと感じました。

手元の SpecCraft と役割はほぼかぶりますが、1万円くらいなら試したいと思っています。

 

初音ミク系の声で高音が痛いとき、今は手で抑えることが多いので、そこに使えそうです。

一方で、わざとこもらせた音まで勝手に直されると困るので、そういう音には向かないと思います。

 

Baby Audio 公式のチュートリアルで、操作の流れが見られます。

 

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同じく自動でならす soothe について考えたことは、soothe3 の記事に書いています。

 

ボカロの声が埋もれたら、先にダイナミックEQを試す

ボカロの声がオケに埋もれたとき、私はまずダイナミック EQ で試します。

それでもだめなときに、ボーカル側の音量や EQ を直します。

 

ボーカル側の調整は面倒ですし、そもそも 今のボカロの声はしっかりしているので、あまり手直しが要りません。

声はそのままにして、ダイナミック EQ で変化を加える、という使い方が中心です。

 

耳に刺さる帯域をどこから探すかは、耳に刺さるミックスの記事にまとめています。

 

使わない方がいいのは、重くなりすぎるとき

ダイナミック EQ を使わない方がいい場面は、あまり思いつきません。

基本的には使った方が得だと思っています。

 

気をつけているのは、処理が重くなることです。

たくさん挿すと止まりやすくなり、Pigments のような重いシンセが使えなくなってしまうので、多用はできません。

 

キックとベースは、サビくらいの音量に合わせると、A メロや B メロで低域が大きくなりすぎることがあります。

ここは今も、普通の EQ のオートメーションで調整しています。

 

ダイナミック EQ で A メロ・B メロだけ低域の出方を変えることもできそうですが、確実で調整しやすいのはオートメーションの方です。

帯域ごとにコンプをかける道具との違いは、マルチバンドコンプの選び方で比べています。

 

まとめ:迷ったらPro-Q 4、安く試すならNova GE

ダイナミック EQ は、出すぎた瞬間だけ削れるので、オートメーションを書く手間が減ります。

4本のうち、私が勧めるのは使いやすさとプリセットの多さで Pro-Q 4 です。

 

高い EQ をまだ持っていないなら X-DynEQ、まず安く試すなら Nova GE、自分で点を置かずに任せたいなら Smooth Operator Pro、という分け方になると思います。

 

使いやすさとプリセットの多さで選びたい人に。

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Pro-Q のような高い EQ をまだ持っていない人に。

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ダイナミック EQ がどんなものか、安く試したい人に。

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曲はできていて、仕上げで耳に痛い音を任せたい人に。

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ABOUTこの記事をかいた人

Logic Pro で音楽制作をしています。インスト曲とボカロ曲を作りながら、DTM・プラグイン・ミックスで実際に試して分かったことを書いています。