Instrument X の楽器は、1つあたり約160MBしかありません。
オーケストラの音源は大きいものだと何十GBにもなるので、桁がまるで違います。
作っているのは、私が歌に使っている Synthesizer V と同じ Dreamtonics です。
録音した音を並べて鳴らすのではなく、AI が演奏をその場で作って鳴らす、新しい作りの楽器の音源です。
私はまだ持っていません。
最初に知ったときは「Synthesizer V の会社で、楽器の曲が打てるんだ」と、素直に面白いと感じました。
1つだけ買うなら、ジャズのサックスかトランペットを選びます。
私の手元には、ホーン系の音源がないからです。
ただ、公式の動画で聞いた音は、私の好みとは少し違いました。
この記事では、Instrument X の中身と、そう感じた理由、値段の見方を、ボカロ曲を作る目線で書きます。
Dreamtonics Instrument X Complete Collection - 2026 Edition を Plugin Boutique で見る →
Instrument X は、AI が演奏を作る楽器の音源
Instrument X は、バイオリンやフルート、トランペットといった生の楽器を、AI で鳴らすソフトです。
ふつうのオーケストラ音源は、本物の演奏を録音した音(サンプル)を、鍵盤に合わせて再生します。
Instrument X はそうではなく、打った音符に合わせて、つながり方や息づかい、部屋の響きまで、その場で計算して作ります。
Plugin Boutique の説明では「ニューラル音響モデリング」と呼ばれていて、歌声を AI で作る Synthesizer V の会社が、楽器のほうに手を広げた製品です。

買うのは楽器ごとの「拡張」で、Instrument X の本体は、どれか1つの拡張を買えば無料で付いてきます。
DAW の中でプラグインとして使うことも、単体のソフトとして立ち上げることもできます。
ほかに、Plugin Boutique の説明にある主な機能は次のとおりです。
- 同じ旋律を最大16人分まで重ねて、1人の演奏をセクション(大勢で弾く音)に変えられる
- スタッカートやレガートなどの奏法を、1つの画面でまとめて付けられる
- 気に入らないフレーズだけ、AI に「別のテイク」を作り直させられる
- 楽譜ソフトの MusicXML を読み込める
- ネットにつながず、パソコンの中だけで音を作る
Dreamtonics の公式の紹介動画では、音符を打って楽器が鳴るまでの流れが見られます。
選べる楽器は15種類、セットでも買える
今そろっている楽器は、弦・木管・金管・ジャズのサックスの15種類です。
1つずつ買うことも、まとめたセットで買うこともできます。
- 弦:バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス
- 木管:フルート、ピッコロ、オーボエ、クラリネット、ファゴット
- 金管:トランペット、ホルン、トロンボーン、チューバ
- ジャズ:アルトサックス、テナーサックス
たとえばフルートは、ビブラートの深さと速さを細かく変えられるのが売りだと説明されています。
録音を並べる音源では再現しにくかった所を、作り方の違いで埋めようとしているわけです。

セットは、弦・金管・木管それぞれのコレクションと、主な楽器を集めた Essentials、15種類すべてが入った Complete があります。
金管のセットには、トランペット・トロンボーン・ホルン・チューバの4つが入っています。

同じ会社の合唱の声と、Instrument X のバイオリンを組み合わせたセットもあります。
そちらは Dreamtonics の Thriller Bundle の記事で、中身の違いを比べています。
1つ買うなら、ジャズのサックスかトランペット
15種類のうち、私が欲しいと思ったのはジャズのサックスとトランペットです。
理由はシンプルで、ホーン系の音源を持っていないからです。
持っていない音を足せるのが、私にとってはいちばん分かりやすい買う理由です。
サックスはジャズの楽器として、アルトとテナーの2つが用意されています。

トランペットのほうは、オーケストラの楽器として作られています。
明るく華やかな音から、くすんだ怪しげな音まで出せる、と説明されています。

楽器ごとの音は、Dreamtonics の公式の動画でまとめて聞けます。
買う楽器を決める前に、自分の曲で使いたい楽器の音だけでも聞いておくと安心です。
公式の動画の音は、私には少し物足りなかった
最初に知ったころは、「歌うように弾かせる」と書いてあっても、そんなにうまくいくのかなと半信半疑でした。
そのうえで公式の動画を聞いてみると、聞こえてきた音は、私の好みとは少し違いました。
動画の音が、どこか物足りなく、私にはスカスカに聞こえたのです。
私は Spitfire Audio や VSL の音が好きなので、余計にそう感じたのかもしれません。
理由はいくつか考えられますが、どれも私の推測です。
1つは、1楽器が約160MBというデータの小ささが、音の厚みに出ているのかもしれない、ということです。
もう1つは、動画で鳴っていたのが1人の演奏で、人数が足りなかっただけかもしれない、ということです。
私がふだん聞き慣れているのは、ソロではなく、10人ほどで弾く大きな編成の音です。
ストリングスは、ふだん EastWest の Hollywood のような、大人数で録った音源を使っています。
その音に耳が慣れているので、1人の演奏が細く聞こえたのかもしれません。
1楽器で2万円近い値段をどう見るか
1つの楽器で2万円近いのは、ちょっと高く感じます。
ただ、先に書いたとおり、Instrument X は同じ旋律を最大16人分まで重ねられます。
1人のソロから大きなセクションまで、自分で人数を変えられるなら、小さい編成から大きい編成まで1つでまかなえる分、値段は見合うのかなと思っています。
動画で物足りなく感じたのが「人数が足りなかったから」なら、人数を増やせば印象が変わるかもしれません。
ここは、自分の耳で確かめたい所です。
Dreamtonics Jazz Alto Saxophone 1 (Instrument X) を Plugin Boutique で見る →
ボーカル1つに楽器が10個の曲なら、どの画面で打つか
Instrument X の画面は、ピアノロールに音符を打っていく作りです。
Synthesizer V で歌を打っている人には見慣れた作りだ、と海外の紹介記事(Dubspot)でも書かれています。

ボカロ曲を作るうえでは、これは一長一短だと思っています。
私は、Synthesizer V の画面で楽器を打つのは、少しやりにくいだろうと感じているからです。
ボカロ曲では、打ち込むのはボーカルのほうが少なく、ボーカル1つを、10個ほどの楽器で支えることが多いです。
その楽器は、いつも Logic Pro で MIDI として打っているので、私は Logic の画面のほうに慣れています。
歌声の合成ソフトとしての Synthesizer V の使いやすさとは、別の話です。
歌声のほうの話は、Synthesizer V Studio 2 Pro のレビューにまとめています。
Synthesizer V Studio 2 Pro を使ったレビュー|ボカロPになるなら買っていい、セールは待たなくていい
ただ、ここは慣れの問題です。
使ってみないと分からない、あくまで私の推測です。
ホーンを足したいボカロPの、1つ目の候補に
Instrument X は、録音を並べる音源とは作りから違う、新しいタイプの楽器の音源です。
私にとっての買う理由は、持っていないホーン系の音を足せることでした。
一方で、大人数の弦の音に耳が慣れている人は、まず公式の動画で、人数を重ねた音を聞いてから決めるのがいいと思います。
1つ買えば本体が付いてくるので、気になる楽器を1つだけ選んで試すのが、いちばん小さく始められる入り方です。
ジャズのサックスの音源を、まだ持っていない人に。
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トランペットなど、ホーン系の音を1つから足したい人に。
Dreamtonics Orchestral Trumpet (Bb) 1 (Instrument X) を Plugin Boutique で見る →
金管の4つを、まとめてそろえたい人に。
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