「サー」「ザー」という小さなノイズは、Logic Pro で鳴らしているあいだは聞こえないのに、WAV で書き出すと聞こえることがあります。
私がそれに気づくのは、いつも最後に書き出した曲を、iPhone で流したときや車の中で聞いたときです。
そこで「ノイズが大きいな」と思っても、何から手をつければいいのか分からず、毎回そこで苦しんでいます。
比べるのは、Waves の Clarity Vx、iZotope の RX 12、Supertone の CLEAR の3つです。
人の声は録らないので、3つとも持っていません。
RX と Clarity Vx は前から気になっていて、CLEAR は調べてみて初めて知りました。
1本だけ選ぶなら、値段を考えれば Clarity Vx、値段を問わなければ RX 12 だと考えています。
この記事では、3つが何をする道具なのかを比べたうえで、私がそう考える理由と、買う前に疑ってほしいことを書きます。
ノイズ除去のプラグインは、録った音や書き出した音から、声や楽器の音を残したまま、後ろで鳴っている「サー」「ブーン」といった雑音だけを減らす道具です。
今回の3つは、どれも声の録音をきれいにすることを一番の目的に作られています。
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3つのノイズ除去プラグインと、Logic のノイズゲートを表で比べる
まず、3つの製品と、Logic Pro に最初から入っているノイズゲートを並べます。
ノイズゲートは、決めた音量(しきい値)より小さい音を切ってしまう道具で、ノイズを「取りのぞく」のではなく「鳴っていない所を黙らせる」ものです。
| 製品 | 作っている会社 | 得意なこと | 操作 | PBの通常価格(2026年10月) | Clarity Vx | Waves | 声の録音から背景のノイズを取る | 中央の大きなつまみ1つ | ¥34,680 | RX 12 Elements | iZotope | 声のノイズ・ハム・クリック・響きを6つのプラグインで直す | Repair Assistant が直し方を提案 | ¥17,216 | CLEAR | Supertone(今は Antinode Audio) | 声・周りの音・声の響きを分けて減らす | つまみ3つ | ¥11,804 | Noise Gate | Apple(Logic Pro に付属) | しきい値より小さい音を切る | しきい値などのつまみ | Logic Pro に入っている |
|---|
買う前に:Logic のノイズゲートを使わなくなった理由
ノイズに困って、Logic のノイズゲートを使ったこともあります。
ボーカルなどのトラックに、何回か挿しました。
ただ、しきい値をどこに置くかがとても難しく感じました。
たとえばピアノなら、余韻をどこから切るかを決めないといけません。
しきい値を上げると、ノイズと一緒に余韻まで途中で切れてしまいます。
結局ノイズゲートは使わなくなり、そもそもノイズを出さないように気をつけることくらいしかしていません。
どうしても気になるときは、書き出した WAV で、しきい値を決めてノイズの部分を切り取ることもあります。
それでも済まないときは、諦めてしまうこともあります。
歌声合成の声には乗らないのに、ミックスで乗る
不思議なのは、歌声合成の声そのものにノイズが出たことは一度もないことです。
ボカロの声だけを書き出しても、ノイズは聞こえません。
ノイズが出るのは、その声を Logic Pro のトラックに移して、プラグインをたくさん重ねたあとです。
原因ははっきりしていませんが、たぶん私がトラックにプラグインを差しすぎているせいだと思っています。
なので今は、プラグインを挿しすぎないよう、トラックの数にも気をつけています。
差しすぎを疑うときに知っておきたいのは、プラグインの中には、わざとノイズを足すものもあることです。
私が持っている RC-20 Retro Color にも、レコードやテープのようなノイズを足す NOISE の段があります。

アナログ風の味付けをするプラグインを挿しているなら、ノイズ除去を買う前に、そのノイズの量を確かめるのが先です。
RC-20 の使い方は、RC-20 Retro Color の使い方にまとめています。
Clarity Vx:値段を考えるならこれ
Clarity Vx は、Waves の公式の説明では、声を聞き分けるように学習させたニューラルネットワークで、声とノイズを切り分けるプラグインです。

画面でいちばん目立つのは、中央の大きなつまみです。
このつまみ1つで、声とノイズのどちらをどれだけ残すかを決めます。
私が1本だけ選ぶなら、値段の面でこれです。
7千円前後なら買ってもいいと思っていて、余裕があれば手元に置いておきたい1本です。
向いているのは、バイオリンやサックスのように自分で楽器や声を録る人と、動画で声を録る人です。
DTM だけでも、何度かノイズに悩まされたことがある人も入ります。
Clarity Vx を欲しいと思った理由と過去のセールは、こちらに書きました。
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RX 12:値段を問わないなら、性能はこれ
iZotope の RX は、音を直すための道具をまとめたソフトです。
RX 12 には Elements・Standard・Advanced の3つの段があり、段が上がるほど道具が増えて、値段も大きく上がります。

いちばん下の Elements には、De-click・De-clip・De-hum・De-reverb・Voice De-noise の5つと、音を聞いて直し方を提案してくれる Repair Assistant が入っています。
iZotope の公式の説明では、Voice De-noise はエアコンの音から街の音まで、声の録音のノイズをリアルタイムで減らせます。
RX は昔から気になっていて、性能はトップクラスだと思っています。
それでも買わなかったのは、値段です。
私のノイズは、たぶんプラグインのつなぎすぎが原因なので、つなぐ数を減らせばある程度は収まります。
なので10万円クラスの上の段までは要らないと考えていて、同じお金なら、欲しい音源を先に買いたいと思っています。
それでも性能を求める人や、動画の撮影で入るエアコンなどのノイズを消したい YouTuber には、RX を勧めます。
段ごとの違いと過去のセールは、iZotope RX のセールと買い時にまとめました。

RX 12 Elements を Plugin Boutique で見る →
CLEAR:響きまで消せるのが面白いが、私にはあまり要らない
CLEAR のつまみは、AMBIENCE・VOICE・VOICE REVERB の3つです。
左から、周りの音、声、声の響きの量を、それぞれ別に決められます。

ノイズを減らすプラグインはほかにもありますが、声の響きまで取れるのが CLEAR の面白い所です。
ただ、私のボカロの声の響きは Logic でかけたリバーブなので、多すぎれば Logic のリバーブを減らせば済みます。
なので、自分にはあまり要らないというのが正直な見立てです。
自分で歌う人や、録った声のノイズ除去からミックスまで自分でする人、2mix しか手元にないエンジニアには便利だと思います。
CLEAR を調べたときのことは、Supertone CLEAR は歌声合成のボカロPに要る?に書きました。
Supertone CLEAR を Plugin Boutique で見る →
結局どれを選ぶか
私の答えを、順番にまとめます。
- 書き出した曲にノイズが乗るなら、まずプラグインの差しすぎと、わざとノイズを足すプラグインを疑う
- それでも消えないノイズに困ったことがあるなら、値段で選んで Clarity Vx
- 値段を問わず、いちばんの性能が欲しいなら RX 12
- 自分で歌を録って、響きまで整えたいなら CLEAR
もう1つ、再生数がまだ伸びていないうちは、ノイズ除去より曲を作るほうにお金と時間を回していい、というのが私の考えです。
3つともセールで大きく下がることがあるので、DTM のブラックフライデーの時期に見比べるのも手です。
まとめ:ノイズに困ったことがある人から選べばいい
ノイズ除去のプラグインは、困ったことがない人が先に買うものではないと思っています。
書き出した曲に「サー」が乗って、差しすぎを減らしても消えないなら、そのときに選べば間に合います。
DTM だけでも何度かノイズに悩まされた人に。
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値段を問わず、性能のいちばん高いものが欲しい人に。
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自分で歌を録って、声の響きまで整えたい人に。
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