Microtonic は、録音したドラムの音を1つも使わずに、キックもスネアもハイハットも、全部シンセで鳴らすドラム音源です。
作っているのは Sonic Charge というメーカーです。
実は、私はこの音源を今回調べるまで知りませんでした。
ドラムは、サンプルを並べて選ぶ XO をずっと使っています。
公式の動画を見て、仕組みと値段を調べ、XO を使う自分に要るかを考えました。
結論は「私はいらない」ですが、人と違うドラムの音が欲しい人には、あえて選ぶ価値がある音源だと思っています。
Sonic Charge Microtonic + Vintage Tonic Free を Plugin Boutique で見る →
Microtonic は、全部シンセで鳴らす8チャンネルのドラム音源
ふつうのドラム音源は、本物のドラムやドラムマシンの音を録っておき、鍵盤を押すとその音を鳴らします。
Microtonic は録った音を使わず、音を作る回路(オシレーターとノイズ)を、その場で鳴らしてドラムの音にします。

左のグレーの画面が Microtonic です。
上の段の「oscillator」と「noise」のつまみで、1つの音を作っていきます。
音を鳴らす枠は8つあり、キック・スネア・ハイハットなどを1つずつ割り当てます。
画面の下には、リズムのパターンを組んで、DAW のテンポに合わせて鳴らすドラムマシンの部分も入っています。

公式の特長の一覧で目を引くのは、CPU の軽さです。
低いスペックのパソコンでも5%未満と書かれていて、サンプルを読み込まないぶん、容量もほとんど取りません。
音を少しずつ別の音へ変えていくモーフィングや、設定をランダムに崩す機能もあります。
自分で一から作らなくても、付属のプリセットとパターンが多く入っています。
Logic Pro で使うなら、Mac 版は Audio Units に対応していて、Apple シリコンの Mac でも動きます。
Mac には単体で動くスタンドアロン版も付いています。
拡張の Vintage Tonic は、昔のドラムマシン10台をシンセで再現
いま Plugin Boutique で売っているのは、拡張の Vintage Tonic が付いた形です。
Vintage Tonic は、1965年から1986年までに作られた、アナログとデジタルの名機のドラムマシン10台の音を集めたものです。
面白いのは作り方です。
録った音をそのまま入れるのではなく、元の音に近づくシンセの設定を、作者が機械学習で探して作ったそうです。
なので、中身は全部 Microtonic の設定で、あとから自由に変えられます。
Plugin Boutique の説明では、808 のキックの音程を変える、CR-78 のハイハットの形を変える、といった例が挙がっています。

昔のドラムマシンの音を、サンプルではなく「いじれる音」として持てるのが、この組み合わせの特徴です。
買う前に、パターンを聞いて試せる
Microtonic には、Patternarium という、ブラウザで遊べるページがあります。
コンピューターが作った Microtonic のパターンを、その場で聞けるページです。

気に入ったものはプリセットとして取り込めて、曲に使ってもよいと公式に書かれています。
聞いた人の投票で、パターンが少しずつ育っていく仕組みです。
さらに、公式サイトからは3週間の体験版も落とせます。

音が好みかどうかは、Patternarium で聞いてから体験版を試す、という順番で確かめられます。
公式の動画を見た印象は「見た目は古いけど、音が可愛い」
公式の動画を見て、まず思ったのは、画面のデザインが少し古く感じることでした。
ただ、やっていることは面白いです。
シンセの音でドラムを作ること自体は、私も Pigments でやったことがあります。
Microtonic はそれより昔からある音源で、鳴る音もちょっと可愛らしいのが楽しいところでした。
シンセでドラムを作る話は、Pigments のレビューにも書いています。
XO を使う私は、サンプルで選ぶほうが好き
私がふだんドラムに使っているのは、XLN Audio の XO です。
手持ちのサンプルと付属のサンプルを、似た音どうしが近くに集まる地図にしてくれます。

同じドラムマシン系の音でも、XO は「録った音の中から選ぶ」、Microtonic は「つまみで作る」と、考え方が反対です。
比べてみて、私はサンプルで選ぶ XO のほうが好きだと分かりました。
Microtonic のやり方は面白いのですが、私の曲では、そこまで作り込む必要がないと感じています。
それに、私が欲しいピコピコしたゲーム機のような音は、Impact Soundworks の Super Audio Cart 2 で出そうと考えています。
まだ持っていない、次に欲しい音源の1つです。
Super Audio Cart のことは、Usynth PIXEL の記事でも少し触れています。
自分の予定の中では、Microtonic の出番が見当たらない、というのが正直なところです。
速いボカロ曲なら、みんなと違う音の「飛び道具」になる
それでも、エレクトロ系の曲や、テンポの速いボカロ曲で使える場面はあると思います。
昔の音源の音は、それだけで曲の味になるからです。
古い音源の音を聞いていると、「このドラム、どうやって鳴らしているんだろう」と気になることがあります。
いまは、みんなが同じ人気の音源を使うので、ドラムの音も似た音になりがちです。
だからこそ、Microtonic のようなちょっと面白い飛び道具を、あえて使う価値はあると思っています。
私は年に十数曲しか作らないので、この音源を使う曲は思いつきませんでした。
ドラムの音で人と違うことをしたいボカロPなら、使い道はあると思います。
1万7000円ほどの値段は、私には高い
Vintage Tonic が付いているとはいえ、1万7000円ほどの値段は、私には高く感じます。
すでに XO のようなドラム音源を持っていて、サンプルの音で満足しているなら、無理に足さなくていい音源です。
反対に、Patternarium や体験版で聞いて「この音が好き」と思えた人には、ありだと思います。
人と変わったことをしたい人にも、ありな選択だと思います。
Microtonic の音が気に入った人や、人と違うドラムの音で曲を作りたい人に。
Sonic Charge Microtonic + Vintage Tonic Free を Plugin Boutique で見る →
サンプルの中から、好きなドラムの音を選んで組みたい人に。
XO を Plugin Boutique で見る →





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