「ボーカルのピッチは、きちんと直しましょう」。
作曲のプロの方は、よくそう言います。
それでも私は、歌声合成ソフトで作る曲に、ピッチ補正のプラグインを使っていません。
聞いてもらううえで大事なのは、歌声の細かいところより、曲全体の世界観や曲調だと思っているからです。
ピッチ補正のプラグインは、歌の音程のずれを、正しい音の高さに寄せる道具です。
録った歌を1音ずつ直すタイプと、挿しておくだけで自動で寄せるタイプがあります。
この記事では、Logic Pro の Flex Pitch、Melodyne、Auto-Tune、Waves Tune Real-Time、RePitch の5つを、「何の声を、どう直したいか」で比べます。
歌声合成で作るボカロPは、Synthesizer V か VOCALOID6 かで答えが変わるので、そこも分けて書きます。
録った歌を1音ずつ直す定番は、Melodyne です。
Celemony Melodyne 5 Essential を Plugin Boutique で見る →
まずは「どの声を、どう直すか」で選ぶ
ピッチ補正のプラグインは、どれも「音程を直す」道具ですが、直す場面が違います。
5つと、歌声合成ソフトのエディタを並べると、こうなります。
| 道具 | 直し方 | 向く人 | 歌声合成ソフトのエディタ | 打ち込みの段階で音程の線を直す | Synthesizer V・VOCALOID6 で作る人 | Flex Pitch(Logic Pro に付属) | 録った歌を1音ずつ | 追加のお金をかけずに試したい人 | Melodyne | 録った歌を1音ずつ(和音は上のグレード) | 歌を録って本格的に直したい人 | Auto-Tune Pro 11 | 自動で寄せる+1音ずつ | 自動の補正と手で直すのを1本で済ませたい人 | Waves Tune Real-Time | 歌いながらその場で | 歌を録る人・ケロケロの声にしたい人 | RePitch 2 | 録った歌を1音ずつ | WAV しか手元に無い歌を直す人 |
|---|
歌声合成だけで作っているなら、表のいちばん上、合成ソフトの中で直すのが先です。
ここから、その理由と、ほかの5つの違いを順に書きます。
歌声合成のボカロPは、まず合成ソフトの中で直す
歌声合成ソフトで音程を作り込むとき、手間がかかるのはフォール(音の終わりを下げる歌い方)などのところです。
そこは、自動ではそうなってくれません(たまになったりもする)。
Synthesizer V は、音程の動きをある程度自動で付けてくれます。
それを手で直していくと、どうしても時間がかかります。
なので私は、今はほとんどそのままにしています。
直すとしても、Synthesizer V や VOCALOID6 の画面で、気になったところを直すくらいです。

私の考えでは、Synthesizer V で作るなら、ピッチ補正のプラグインは要りません。
一方で、VOCALOID6 で作るなら、あってもいいと思っています。
VOCALOID6 も、エディタの下段に出るピッチの線で、音程の動きを直せます。

合成ソフトでの調整の流れは、Synthesizer V の使い方の記事とVOCALOID6 のレビューに書いています。
Logic の Flex Pitch:追加のお金をかけずに試すならここ
Logic Pro には、Flex Pitch という音程を直す機能が最初から入っています。
歌のオーディオに Flex Pitch をかけると、音の高さがノートのブロックとして並び、ブロックを上下に動かして音程を直せます。

私も、昔は Flex Pitch で音程を直していました。
ただ、直した良さをあまり実感できなかったのと、その修正にかかる時間がもったいなく感じました。
それよりも曲の構成のほうが大事だと思うようになり、今はほとんど触っていません。
Logic を使っているなら、追加のお金をかけずに試せます。
Flex Pitch で歌の音程をノートとして見る使い方は、耳コピの記事でも書いています。
Melodyne:歌を録って本格的に直す人の定番
Melodyne は、録った音を1音ずつ「かたまり」で表示して、音程や長さを直すソフトです。
グレードは Essential・Assistant・Editor・Studio の4つで、和音を1音ずつ直せる DNA Direct Note Access は Editor 以上に入っています。

私は持っていませんが、ボーカルのピッチを直すのは重要だと言われていたので、前から気になっていました。
公式の動画を見た印象は、Logic の Flex Pitch にかなり近いものです。
ボーカルだけでなくギターにも使えるのは面白いですし、和音まで聞き分けて直せるのはすごいと思いました。
ただ、1音ずつ手で直していくのは、どうしても時間がかかります。
本当にレベルの高い曲を作りたいならそこまで直す必要がありますが、仕事をしながらだと難しいところです。
時間に余裕がある学生さんや、これから作曲で食べていく覚悟がある人には、あっていい道具だと思います。
値動きと買い時は、こちらにまとめています。
Melodyneのセールはいつ?過去の値動きと買い時|歌声合成で作るボカロPが、ピッチ補正ソフトを「今はいらない」と思う理由
Auto-Tune Pro 11:自動で寄せるモードと、1音ずつ直すモード
Auto-Tune Pro 11 には、挿すだけで音程を自動で寄せていく Auto Mode と、1音ずつ直す Graph Mode があります。
自動の補正と手で直す作業を、1本で済ませられる作りです。

私は、Auto-Tune を使ったことはありません。
Plugin Boutique では扱いが確認できなかったので、Antares の公式サイトを載せておきます。
AutoTune Pro 11(Antares公式サイト) →
セールの来かたと、私がいま買わない理由は、Auto-Tune Pro 11 の記事に書いています。
Waves Tune Real-Time:歌いながら、その場で直す
Waves Tune Real-Time は、録りながら補正のかかった声を聞ける、リアルタイムのピッチ補正です。
自然な直し方から、ケロケロと呼ばれる極端な声まで作れます。

私には、「リアルタイム」の部分が要りません。
ピッチ補正があってもいいとは思いますが、欲しいのはリアルタイムではなく、あとから普通に直すピッチ補正のほうです。
歌声合成の声を、その場で歌いながら使うこともあまりありません。
向いているのは、やはり実際に歌を録る人や、ケロケロの声にしたい人だと思います。
値動きはWaves Tune Real-Time のセールの記事にあります。
RePitch 2:Flex Pitch を強くして、操作しやすくしたような道具
RePitch 2 は、Synchro Arts の、録った歌の音程とタイミングを直すソフトです。
音符ごとの揺れを残したまま、音程だけを直せます。

公式の動画を見た印象は、Logic の Flex Pitch を強化して、操作しやすくしたような道具でした。
ただ、やっていることは、VOCALOID6 や Synthesizer V の中で音程を直すのと同じです。
合成ソフトに戻って直せるボカロPなら、似たことはすでにできます。
一方で、WAV しかもらえないミックスだけの人や、ボカロの調整を引き受ける人には向いていると思います。
Synchro Arts のほかの製品とセールの来かたは、Synchro Arts のセールの記事にまとめています。
まとめ:プロ志向なら直す、私はほかのことを優先する
プロの方が「直せ」と言うのですから、ピッチ補正はおそらく要るものなのでしょう。
プロ志向で、本格的にやりたい人は、やった方がいいと思います。
ただ、歌声合成だけで作っているなら、私はそこまで必要とは思っていません。
Synthesizer V なら要らない、VOCALOID6 ならあってもいい、というのが私の答えです。
私自身は、それよりも優先したいことがたくさんあるので、今はやりません。
安くても使い道がないものは、買わない方がいいと思っています。
歌を録って、1音ずつ本格的に直したい人に。
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WAV しか手元に無い歌を直す人、ボカロの調整を引き受ける人に。
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実際に歌を録る人、ケロケロの声にしたい人に。
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