Aberrant DSP Complete Bundleはボカロ曲に要る?|6つのエフェクトの全部入りを、SketchCassette II単体は「RC-20で足りる」と見送ったボカロPが調べてみた

本記事はアフィリエイトプログラム(Plugin Boutique 等)を利用しています。リンク経由の購入で売上の一部が当サイトに還元されますが、価格は変わりません。

 

SketchCassette II を単体で買うか考えたとき、私の答えは「RC-20 があるから、特に買わなくていい」でした。

ところが、同じ Aberrant DSP のエフェクトが6つ入った Complete Bundle を見て、考えが少し変わりました。

 

全部入りで1万3000円前後なら、買ってもありかなと思っています。

色をつける系のエフェクトは、あって困るものではないからです。

 

Aberrant DSP は、手描きのイラストのような画面のエフェクトを作っているメーカーです。

Complete Bundle には、カセットテープの質感・音の形を変えるコンプ・帯域ごとの音作り・グリッチ・リバーブ・音を壊すエフェクトの6つが入っています。

 

私はどれもまだ持っておらず、名前を知っていたのは SketchCassette II だけでした。

それぞれの中身と、単体と全部入りで考えが分かれた理由を書いていきます。

 

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入っている6つのエフェクトと、それぞれの役目

Plugin Boutique の製品ページに載っている6つを、何をする道具かで並べました。

プリセットの数も、製品ページの説明にあるものです。

 

製品何をする道具かプリセット
SketchCassette II4トラックのカセットの揺れ・ヒス・こもり61
ShapeShifter音の形を変えるコンプ(色・太さ・ざらつき)64
Tectonic4つの帯域ごとのEQ・広がり・コンプ65
Digitalisデジタルの劣化とグリッチ98
Lair変わった空間を作るリバーブ77
Cataclysm音を壊すマルチエフェクト92

 

前の3つは、音に色や太さを足す道具です。

後ろの3つは、音を崩したり、別の世界に連れていったりする道具になります。

 

音に色と太さを足す3つ

SketchCassette II:カセットらしさをイラストの画面で決める

SketchCassette II は、4トラックのカセットレコーダーをもとにしたローファイのエフェクトです。

テープの種類と質の組み合わせが12通りあり、古さ(AGE)・ヒス・サチュレーション・音が途切れるドロップアウト・揺れ(WOW と FLUTTER)を足していけます。

 

SketchCassette IIの画面。左にカセットとテープの種類、中央にWOW・FLUTTER、下にAGE・HISS・SATURATION・DROPOUTSのつまみ(Aberrant DSP公式サイトより)

 

公式の動画を見て、私が面白いと思ったのは、イラストのような画面で音を調整できるところです。

音もちゃんとカセットっぽく聞こえて、しっかり鳴っていました。

 

ちょっとした遊び心があって、サチュレーションもあるのがいいところです。

単体のセールの時期は、SketchCassette II のセールの記事にまとめています。

 

 

ShapeShifter:音の形ごと変えるコンプ

ShapeShifter は、SketchCassette の NR Comp(ノイズリダクションの圧縮)をもとに作られたコンプです。

小さい音を持ち上げる圧縮と、大きい音を抑える圧縮を帯域ごとに混ぜて、音に色・太さ・ざらつきを足します。

 

ShapeShifterの画面。tone・ratio・attack・release、transientsのratio・threshold・floor、driveとasymmetry、dry / wet(Aberrant DSP公式サイトより)

 

ひずみ(drive)は、やさしい A と強い B の2種類から選べます。

dry / wet のつまみで元の音と混ぜられるので、薄くかけて少しだけ太くする使い方もできます。

 

Tectonic:4つの帯域ごとに、音色と広がりを変える

Tectonic は、EQ・広がり・コンプを1つにまとめた、帯域ごとの音作りの道具です。

低域から高域まで4つに分けて、帯域ごとに上げ下げします。

 

Tectonicの画面。LOW・MID 1・MID 2・HIGHの4つの帯域と、帯域ごとのM・Sボタン、境目の周波数の選択(Aberrant DSP公式サイトより)

 

ふつうの EQ と違うのは、上げるとコンプが働くところです。

帯域ごとに真ん中と左右(Mid / Side)の割合も変えられるので、低域は狭く、高域は広く、といった分け方もできます。

 

音を崩し、別の世界に連れていく3つ

Digitalis:わざと壊れたデジタルの音を作る

Digitalis は、デジタルの劣化とグリッチをまとめたエフェクトです。

製品ページによると、質の悪いコンバーター・掘り出した古い CD・弱いネット回線のような音がもとになっています。

 

Digitalisの画面。DATA・CORRUPTION・TIMEの3つの窓と、下に16ステップのSEQUENCER(Aberrant DSP公式サイトより)

 

画面は DATA・CORRUPTION・TIME の3つの窓に分かれていて、つなぐ順番を入れ替えられます。

下の16ステップのシーケンサーで、テンポに合わせて効果を切り替えるので、リズムに合わせた音の途切れも作れます。

 

右下の猫のキャラクターが、使い方を教えてくれる案内役です。

公式サイトには製品ごとに体験版があり、全部の機能を試せますが、45秒ごとに1秒弱の音切れが入ります。

 

 

Lair:3つの「部屋」を切り替えるリバーブ

Lair は、3種類の独自の残響(Device)を切り替えて使うリバーブです。

それぞれの Device に2つずつ特別な効果があり、ふつうの部屋の響きから、聞いたことのない空間まで作れます。

 

Lairの画面。中央の円の周りにSPARSITY・P.DELAY・WIDTH・DUCKING、右にDEVICEの切り替えとDRIVE・MODULATION(Aberrant DSP公式サイトより)

 

響きをひずませる DRIVE や、揺らす MODULATION も中に入っています。

元の音が鳴っている間は響きを下げる DUCKING もあるので、歌にかけても言葉がにじみにくくできます。

 

Cataclysm:音を壊すための機械

Cataclysm は、壊れた測定器や盗聴の機械、古いアナログの機材をもとにした、音を壊すマルチエフェクトです。

真ん中の DRIVE を中心に、2声のピッチシフター・短いループを録るルーパー・低いうなりを足す HUM・コーラス・ディレイなどが並びます。

 

Cataclysmの画面。中央のDRIVE、PITCH・LOOPER・HUM・CHORUS・AMPLITUDE MODULATION・RESONATOR・DELAYなどのモジュール(Aberrant DSP公式サイトより)

 

Digitalis がデジタルの壊れ方なら、Cataclysm はアナログの機械が暴れるような壊れ方です。

Digitalis・Lair・Cataclysm の3つは、今回はじめて知りましたが、公式の動画は素直に好きな音でした。

 

 

初音ミクの曲の世界観は、グリッチで作れる

グリッチのような音を壊すエフェクトは、私もたまに使います。

EDM 寄りの曲では大事な表現で、初音ミクの曲のあの世界観を作るのに重要だと思っています。

 

ボカロ曲を作っていると、こうしたエフェクトを使う場面は多いはずです。

この束なら、グリッチは Digitalis、もっと荒く壊すなら Cataclysm、と道具を選べます。

 

曲の世界観をはっきり出したい人には、おすすめできる組み合わせです。

 

単体なら RC-20 で足りる、全部入りなら欲しい

SketchCassette II だけを見たときは、私は RC-20 を使っているので、買わなくていいと考えました。

テープの質感を足すという役目では、RC-20 と大きな差はないと感じたからです。

 

2つの違いは、こちらの記事で比べています。

 

RC-20とSketchCassette II、テープ感だけ欲しいならどっち?RC-20を使っているボカロPが調べてみた

 

全部入りになると、話が変わります。

RC-20 には無い、グリッチ・変わったリバーブ・音の形を変えるコンプまでが、1つの束に入るからです。

 

色をつける系のエフェクトは、あって困るものではないと思っています。

なので、全部入りで1万3000円前後なら、私は欲しいと感じました。

 

Logic Pro で使う前に見ておきたいこと

Mac では AU・VST3・AAX に対応していて、Intel と Apple Silicon のどちらでも動きます。

Logic Pro でも AU で読み込めます。

 

Plugin Boutique の動作環境は macOS 10.10〜13 Ventura と書かれていて、公式サイトの Digitalis のページは macOS 10.13 以降となっています。

新しい macOS で使う人は、先に体験版で動くかを試しておくと安心です。

 

過去のセール

  • 2021年11月:Plugin Boutique の Aberrant DSP セールで、ShapeShifter と SketchCassette II が最大50%オフ(rekkerd)
  • 2025年7月1日〜7月31日:Plugin Boutique の Aberrant DSP サマーセールで、単体が最大36%オフ・バンドルも対象(rekkerd)
  • 2026年10月31日:Complete Bundle が Plugin Boutique で¥13,052(通常¥20,948・37%オフ・11月30日まで・6つを別々に買うより¥20,388安い)

 

まとめ:1つを足すより、色の引き出しをまとめて増やす束

Aberrant DSP Complete Bundle は、テープ・コンプ・帯域ごとの音作り・グリッチ・リバーブ・音を壊すエフェクトを1つにまとめた束です。

テープの質感だけが目当てなら、RC-20 のような手持ちで足りることもあります。

 

それでも、6つそろって1万3000円前後なら、色をつける道具の引き出しをまとめて増やせます。

まず体験版で、Digitalis の壊れ方や Lair の響きを、自分の曲に挿して聴いてみてください。

 

グリッチやテープの質感で、曲の世界観をはっきり出したい人に。

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テープの揺れだけを、イラストの画面で手軽に足したい人に。

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ABOUTこの記事をかいた人

Logic Pro で音楽制作をしています。インスト曲とボカロ曲を作りながら、DTM・プラグイン・ミックスで実際に試して分かったことを書いています。