サツキ氏のボーカル処理をLogicで真似するなら|インタビューで話していた方法と、私も実際にやっていること

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「メズマライザー」のボカロP、サツキさん。

ボーカルの処理について、インタビューでかなり具体的に話しています。

 

この記事では、サツキさんが話している内容を事実だけまとめて、Logicで作っているボカロPが真似するならどうするかを書きます。

私もLogicでボカロ曲を作っていて、実際に同じことをしている部分があるので、そこは自分の画面で並べます。

 

出典は、本人が話しているこの2本です。

使っているものは変わることがあるので、どちらも記事の時点での情報です。

 

まずは曲です。

 

使っているDAWと歌声

DAWは、次の順番で変わっています。

  • Cakewalk by BandLab(無料):最初の1年くらい
  • Studio One:SpliceのRent to Own(月払いで最終的に自分のものになるプラン)で使っていた
  • Ableton Live:「メズマライザー」の次の作品から完全に移行

 

歌声は、VOCALOID5から6に乗り換えていて、初音ミクV4Xのほか、複数のボイスバンクを持っていると話しています。

 

Logicは使っていません。

なので、ここから先の「Logicで真似するなら」は、私の考えです。

 

ボーカル処理の中身

Wavesのプラグインを使うとき

plug+のインタビュー(2024年12月)では、飛び道具的なもの以外は基本Wavesで処理していると話しています。

並びは、だいたいこうです。

  1. Linear Phase EQ:EQ
  2. Renaissance Compressor:コンプ
  3. OTT:Amountを40%と多めにかけて、声をはっきりさせる
  4. Scheps 73・CLA Vocals:倍音を足す
  5. Vitamin:エキサイターで色を付ける
  6. Vocal Rider:音量のオートメーション

 

メインのボーカルには、Doublerもかけているそうです。

 

Live純正だけで作ったミク用のエフェクト

Abletonのインタビュー(2026年3月)では、ふだんの処理に近いものを、Live純正のエフェクトだけで再現して配布しています。

 

順番はこうですね。

  1. EQで低域をばっさりローカット
  2. コンプで音量を整える
  3. マルチバンドのOTTをAmount 40%くらいで、パキッとした下地を作る
  4. サチュレーターで倍音と歪みを足して、声がオケに埋もれないように太くする
  5. EQで高域を上げて抜けを良くし、声の基音のいちばん大きいところは少しだけ削る
  6. もう1つマルチバンドを入れて、エンハンサー的に高域を少し上げ、低域と中域を少し下げる
  7. コーラスをダブラー的に使って厚みを足す
  8. ディエッサーで、上げた高域がうるさくならないように抑える
  9. 薄くプレートリバーブ

 

ミックスは、Live純正とWavesをほぼ半々で使っていると話しています。

純正の質が高いので、高いプラグインを無理にそろえる必要はない、という話もしています。

 

いちばん気を使っているのは、ボーカルより「オケ」

私がいちばん大事だと思ったのは、ここです。

サツキさんは、ボーカル処理よりも、むしろオケのほうに気を使っていると話しています。

 

  • オケのセンター(真ん中)には、なるべく音を置かない
  • ボーカルと周波数がぶつかるところは、EQで削る
  • ボーカルが鳴っているときだけ、ぶつかる帯域を下げる
  • 高い帯域で鳴らす音色も、ボーカルに被らないものを選ぶ

 

ボーカルが聞こえなければ歌モノをやる意味がない、というのが理由です。

 

私も「センターを空ける」はやっている

これは、私もLogicで毎回やっています。

コード楽器(ピアノ・パッド・ギターなど)をまとめたバスにPro-Q 4を挿して、Mid(真ん中)だけを広めに削っています。

コード楽器のバスに挿した Pro-Q 4。Mid だけをワイドに削ってボーカルの居場所を作っている

 

これだけで、ボーカルの居場所が空きます。

ボーカルが鳴っているときだけ下げる処理も、Pro-Q 4のダイナミックEQでやっています。

 

Logic純正のChannel EQでも、ボーカルとぶつかる帯域を削るところまではできます。

センターを空けるのはやりやすいので、真似するなら、まずここからがおすすめです。

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Logicで真似するなら(純正で置き換える)

Live純正のミク用エフェクトに近い役割のLogic純正プラグインを並べると、次のようになります。

役割が近いものの対応なので、同じ音になるわけではありません。

 

  • ローカットのEQ・高域を上げるEQ → Channel EQ
  • コンプ → Compressor
  • OTT・エンハンサー的なマルチバンド → Multipressor(Logic純正のマルチバンドコンプ)。OTTそのものは、Xferが無料で配布しています
  • サチュレーター → ChromaGlow
  • ダブラー的なコーラス → Chorus、またはEnsemble
  • ディエッサー → DeEsser 2
  • 薄いプレートリバーブ → ChromaVerbのプレート系(センドで送る)

 

私がLogic純正だけで組んでいたボーカルのチェーンは、こうでした。

純正だけで組んだボーカルチェーン。Channel EQ / Compressor / DeEsser 2 / ChromaGlow

 

Channel EQ、Compressor、DeEsser 2、ChromaGlow。

サツキさんのラックと比べると、私のほうはOTTとエンハンサーとダブラーがない、シンプルな形です。

 

OTTは、私は今はVO-TTで整えている

私も、昔はOTTを使っていました。

今は、Three-Body TechnologyのVO-TTで整えています。

 

ボカロの声が前に出るように、最後に全体を整える役割です。

VO-TT を Plugin Boutique で見る →

 

VO-TTの使い方は、こちらに書いています。

VO-TTレビュー|ボカロの声が人と似てしまう問題に、色付けで向き合ってみた話

 

「声に厚みを出す」のも同じ考え方

サツキさんは、メロディが高いので、そのままだと声に厚みがないと感じて、オクターブ下の声を重ねていると話しています。

サビには、3度上と3度下のハモりを入れることも多いそうです。

 

私も、オクターブ下の声は普段から重ねています。

VOCALOID6で、初音ミクの本体とは別のトラックに、オクターブ下やダブリングを作っています。

VOCALOID6のトラック一覧。初音ミク本体のほか、オク下・ダブリング1・ダブリング2・五度・オク上のトラックを重ねている

 

画面では、本体と同じ場所にオク下とダブリング1・2が並んでいます。

 

調声:音の移り変わりを、ベタ打ちのままにしない

サツキさんは、初音ミクV4XのPortament timing(次の音への移り方)を遅らせて、グリッドにぴったり合ったベタ打ち感を避けていると話しています。

人が歌うときも、次の言葉にすぐには切り替えられないから、という理由です。

 

私はピッチカーブは描かず、音の移り変わりはMIDIの位置(音符の位置)で調整しています。

やり方は違いますが、「音から音へ、ぴったり揃えない」という考え方は同じです。

 

調声でやりすぎない話は、ボカロの調声はやりすぎないほうがいいに書きました。

 

Wavesで真似するなら

サツキさんのWavesの並びのうち、私も使っているのはVocal Riderです。

ボーカルに挿しています。

Waves Vocal Riderの画面。Target・Sensitivity・Range・Riderフェーダーが並ぶ

 

ボーカルの音量を自動で上げ下げしてくれるので、手で音量のオートメーションを書く作業が減ります。

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コンプのRenaissance Compressorと、倍音を足すCLA Vocalsは、私は使っていません。

Plugin Boutiqueで扱っているので、同じものをそろえたい人向けにボタンだけ置いておきます。

Waves Renaissance Compressor を Plugin Boutique で見る →

 

CLA Vocals を Plugin Boutique で見る →

 

Wavesは年中セールをしているメーカーなので、定価で買う必要はありません。

私のボーカルのチェーン全体は、こちらにまとめています。

ボーカルの処理について|ボカロ1本に挿しているプラグインの順番と、純正から有料に切り替えた場所

 

いまのチェーンは、なんとなくこの順番ですね。

ボカロのボーカルトラックに挿しているチェーン。上からVEA / Vocal Rider / Pro-Q 4 / Pro-C 3 / SpecCraft / ChromaGlow / Pro-Q 4 / VO-TT

 

まとめ

  • サツキさんのDAWは、Cakewalk → Studio One → Ableton Live。ミックスはLive純正とWavesがほぼ半々(記事時点)
  • ボーカルは、EQ → コンプ → OTT → 倍音 → エキサイター → 音量の自動調整、という並び。Live純正だけで再現したミク用のエフェクトも配布している
  • いちばん気を使っているのは、ボーカル処理より「オケのセンターを空ける」こと
  • Logicで真似するなら、まずセンターを空ける。Channel EQでも、Pro-Q 4のMid/Sideでもいい
  • 声の厚みは、オクターブ下やダブリングを重ねる。私はVOCALOID6で別トラックを作っている
  • 純正の置き換えは、Multipressor・ChromaGlow・DeEsser 2・ChromaVerbで一通りそろう

 

高いプラグインをそろえるより、まずオケの真ん中を空ける。

ここは、Logicでもすぐに真似できます。

 

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