iZotope Vinylは無料でどこまで使える?RC-20と使い分けているボカロPの話

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以前、RC-20 Retro Colorのレビューで、マスタートラックに挿してノイズが強すぎて失敗した話を書きました。

その記事の最後で少しだけ触れた、無料の iZotope Vinyl について、今回は少し書きます。

 

結論から言うと、古い音・カセットのチリチリした質感を足したいときは、有料のRC-20より無料のVinylを使うことが多い です。

iZotope Vinylの基本画面。1970年を選び、Dust 80%・Scratch 0%・Warp 24%に設定している

 

ローファイや、ボカロの”世界観”を作りたいときに使う

Vinylを挿すのは、曲全体をローファイにしたいときや、機械っぽい質感を足したいときです。

 

あとは、曲の中でちょっとした物語ですかね。

場面の切り替わりとか作りたいときにも使います。

古いラジオから流れてきたような雰囲気にしたり、曲の一部だけ質感を変えて世界観を演出したり、という使い方です。

 

単純に、ノイズが欲しいだけのときにも、とりあえずは挿します。

ノイズはRC-20の方が種類は多いですが。

無料なので、迷ったら試すハードルが低いプラグインです。

 

まずは公式の紹介動画を貼っておきます。

 

実際に触っているのは、基本的なノイズ系のパラメータだけ

Vinylの画面には、Dust・Scratch・Warpのスライダーと、Mechanical・Electricalというノイズの音量ノブ、それにRPM・Spindown・Lo-fi・Wearのノブが並んでいます。

 

無料のプラグインなので、そこまで操作項目は多くありません。

自分が触っているのは、基本的なDustやScratchのノイズと、Mechanical・Electricalの音量くらいです。

 

iZotope Vinylでよく使う値の例。1980年を選び、Mechanical -21dB・Electrical -24dB・Dust 50%・Scratch 32%・Warp 6%に設定している

 

だいたいこのくらいの値に落ち着くことが多いです。

年代を選ぶセレクター(1930〜2000)も一応触りますが、劇的に変わる感覚はなくて、Dust・Scratch・ノイズの音量のほうを耳で聞きながら決めています。

古いほうが、確かにうるさい感じではありますね。

 

あとは、Lo-fiのノブです。

Lo-fiを上げると、少しキンキンした質感になります。

もう少し古びた感じ、というより、ラジオやスマホのスピーカーで鳴らしたような、高域が痩せて硬くなる方向の変化だと思います。

曲の一部だけこれをかけて、あえて質感を変える使い方もします。

 

テープストップは、Spin Downを自動化して作る

曲の展開の途中で、レコードが一瞬止まるような演出を入れたいときがあります。

 

VinylのSpindownというパラメータを、Logic上でオートメーションを描いてオン・オフします。

 

Logic ProのトラックでVinylのSpin DownパラメータをオートメーションでON/OFFしている画面

 

Stereo Outのトラックにオートメーションを描いて、決めたタイミングでSpin DownをONにすると、回転が落ちて音が歪みながら止まっていくような効果になります。

これをオフに戻せば、また普通に鳴り始めます。

 

派手なエフェクトではないですが、Aメロが始まる前の一瞬や、曲の展開の切れ目にひとつ入れるだけで、場面が変わった感じが出ます。

本当は有料のプラグインの方が、自由に演出できると思いますが、とりあえず無料で使えると言う形ですね。

 

RC-20との使い分け

無料のVinylと、有料のRC-20 Retro Colorは、似たような場面で使う質感系のプラグインですが、自分の中では役割が分かれています。

 

iZotope VinylとRC-20 Retro Colorの画面を並べたスクリーンショット

 

古い音や、カセットテープのチリチリしたノイズを表現したいときはVinyl です。

 

対して、RC-20は揺らしたり(Wobble)、デジタルに壊したり(Digital)、サチュレーションをかけたり(Distort) という、質感を積極的に作り込む方向で使っています。

このあたりはサチュレーションの記事にも書きました。

 

まとめると、Vinylは「古さ・ノイズを足す」担当、RC-20は「揺らす・壊す・作り込む」担当という住み分けです。

 

参考までに、RC-20の紹介動画も貼っておきます。

 

正直な話:これだけだと物足りない

ここまで褒めるように書いてきましたが、正直に言うとVinylだけだと物足りない、というのが本音です。

 

できることは、ほとんどヒスノイズとカセットのノイズ、あとは針が飛ぶようなScratchくらいで、機能としてはかなり絞られています。

あとは音を大きくしすぎると違和感もあります。いい塩梅が大事ですね。

 

これ1本で曲の質感作りが完結することはないので、あくまで「ちょっと古いものを試しに使ってみたい」くらいの立ち位置だと思っています。

 

面白いのは、1930年代から2000年代まで、年代を選ぶだけでそれっぽい印象を出せるところです。

たとえば、ストリングスやピアノの音を1970年代くらいに寄せると、それだけで急に懐かしい雰囲気になるのは、無料プラグインとしてはよくできているなと思います。

 

まとめ:無料でここまで、本格的にはRC-20やTrashへ

iZotope Vinylは、無料でダウンロードできる分、機能はDust・Scratch・ノイズ・Lo-fi・Spindownくらいに絞られたシンプルなプラグインです。

 

「古い音を軽く試してみたい」「ちょっとノイズが欲しい」というときには十分 ですが、揺らしたりデジタルに壊したりと、質感を作り込みたくなったら物足りなくなってきます。

 

そのあたりを本格的にやりたい場合は、自分が実際に使っているRC-20 Retro Colorや、もう少し攻めた歪みが欲しいならiZotope Trashのほうに手が伸びると思います。

 

RC-20 Retro Color を Plugin Boutique で見る →

iZotope Trash を Plugin Boutique で見る →

 

Vinyl自体はPlugin Boutiqueでは扱っていないので、気になった方はiZotope公式サイトから無料でダウンロードしてみてください。

 

まずは無料のVinylで古い質感を試して、物足りなくなったらRC-20やTrashへ、という順番でいいと思います。値段のかからないところから試せるのは、無料プラグインの良いところですね。

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ABOUTこの記事をかいた人

Logic Pro で音楽制作をしています。インスト曲とボカロ曲を作りながら、DTM・プラグイン・ミックスで実際に試して分かったことを書いています。