ピアノがこもって聞こえるとき、私が最初に触るのは EQ ではありません。
先に見るのは、ほかの音との兼ね合いと、ピアノの音源・プリセットです。
「こもる」のは、ピアノだけの問題ではなく、ほかの音との兼ね合いで起きていることが多いと感じています。
だから、ほかの音とのぶつかりを先に見直して、それでもだめなら音源やプリセットごと替えます。
EQ で削るのはそのあとです。
この記事では、Logic Pro でボカロ曲を作っている私の、ピアノのミックスの手順を順番に書きます。
EQ は FabFilter Pro-Q 4、コンプは Pro-C 3 を使っています。
FabFilter Pro-Q 4 を Plugin Boutique で見る →
手順1:こもったら、EQの前に「ほかの音」と音源を見直す
ピアノがこもって聞こえても、すぐにピアノの EQ をいじることはしません。
最初は、ピアノ以外の音との兼ね合いをなんとかします。
それでもすっきりしないときは、ピアノの音源を替えるか、プリセットを替えるのが大事だと思っています。

プリセットを替えるときは、同じ音源の中で選び直します。
音源そのものを替えることもあります。
私は伴奏には Addictive Keys、ソロで前に出すときは Pianoverse と使い分けています。

2つの使い分けは、Addictive Keys と Pianoverse の比較の記事に詳しく書いています。
手順2:EQは「主役か脇役か」で形を変える
音源が決まったら、Pro-Q 4 で EQ をかけます。
ここで最初に決めるのは、この曲でピアノを主役にするか、脇役にするかです。
下の画面は、ピアノが主役のときに使っている、私の Pro-Q 4 のプリセット「main piano」です。
ここから微調整していくことが多いですね。

60〜70Hz あたりから下を急なローカットで切り、90Hz 前後・350Hz 前後・4〜5kHz あたりを少しだけ持ち上げています。
低音はベースにまかせて、ピアノは低いところで濁らないようにしておく考え方です。
主役のときは削りを少なくして、どちらかというとブースト寄りにします。
脇役のときは、持ち上げを外して削る
ピアノが伴奏寄りで、メインにならない曲では、この持ち上げを外します。
そのうえで、100Hz あたりや 500Hz あたりを削ることが多いです。
脇役なら、ローカットもバッサリいってもいいと思っています。
ピアノが引っ込むぶん、ボーカルやほかの主要な楽器が前に出てくれます。
EQ を始めたころは、本に書いてある「ピアノはこう削るべき」のとおりに削っていて、ほとんど音を聞かずにやっていました。
いまは主役か脇役かを先に決めて、形を変えるようにしています。
Pro-Q 4 の基本の操作(ローカットの入れ方や、削る場所の探し方)は、Pro-Q 4 の使い方の記事にまとめています。
手順3:パンは真ん中のまま、イメージャーで広げる
ピアノのパンは、基本的に真ん中です。
左右の端に寄せることはほぼなく、広がりが欲しいときはイメージャーで広げることが多いです。
振るとしたら、MV のバンドの演奏の並びで、ピアノが片側にいるときくらいだと思います。
ただ、これまでピアノにパンを振ったことはありません。
広げすぎると芯が消えることもあるので、イメージャーの選び方と注意はステレオイメージャーの選び方の記事に書いています。
手順4:コンプは弱めにかけて、音の粒をそろえる
EQ のあとに、Pro-C 3 を挿します。
ピアノのコンプは、弱めにかけて音の粒をそろえるためのものです。

上は、同じピアノに挿している Pro-C 3 のプリセット「piano standard」です。
アコースティックな感じを残したいので、あまり強くはかけません。
目安は、リダクションが 3dB くらいのイメージです。
あくまで補佐で、薄めでいいと思っています。
Pro-C 3 のつまみの動かし方は、Pro-C 3 の使い方の記事にまとめています。
EQとコンプは、テンプレートに入れておく
ここまでの EQ とコンプは、毎回いちから作っているわけではありません。
ドラム・ベース・ピアノは、先に EQ とコンプを設定して、そのままテンプレートとして保存しておくことが多いです。

左が、別の曲でのピアノのチャンネルです。
Pianoverse のあとに Pro-Q 4 → Pro-C 3 → SpecCraft → ChromaGlow の順で挿していて、EQ → コンプ → 最後にサチュレーションという並びです。
上の「main piano」や「piano standard」も、そうやって自分のプリセットとして保存しているものです。
曲ごとには、主役か脇役かに合わせて手直しします。
速いロックとバラードでは、ピアノの扱いを変える
ボカロ曲でも、速いロックとバラードでは、ピアノの扱いを変えています。
速いロック系は、ピアノもアタックが強めになるので、コンプは強めでいいと思っています。
打ち込みも、ベロシティを強めにして叩く感じにした方が合います。
それに、ロックはピアノが埋もれがちです。
なので、ピアノの高域を伸ばして主張させることが多いです。
バラードは綺麗に聞かせたいので、コンプは弱めにします。
ただ、どちらの曲でも最後に決めるのは、ピアノをどのくらい主役にするかです。
主役ならカットせずにブースト寄り、脇役なら削って、ほかの主要な楽器を前に出します。
サビでピアノに何を弾かせるか(8分の刻みか、白玉か)は、アレンジの記事に書きました。
まとめ:こもりは「足す・削る」の前に、役割を決める
私のピアノのミックスの手順をまとめると、次のとおりです。
- こもったら、まずほかの音との兼ね合いを見直し、だめなら音源やプリセットを替える
- EQ は主役なら少し持ち上げ、脇役なら持ち上げを外して 100Hz・500Hz あたりを削る
- パンは真ん中のまま、広げたいときはイメージャーで
- コンプは弱めで、リダクション 3dB くらいを目安に粒をそろえる
- 速いロックはコンプとベロシティを強めにして高域を伸ばし、バラードはコンプを弱めに
ピアノの音源そのものから選び直したい人は、ピアノ音源の選び方の記事もどうぞ。
主役と脇役で形を変えた EQ を、プリセットに保存して使い回したい人に。
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ピアノの粒を弱めにそろえて、アコースティックな感じを残したい人に。
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