ボカロ曲で伸びやすいジャンル・埋もれやすいジャンル|シンプルロックが難しい理由とEDMを勧めるわけ

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ボカロ曲が思ったより聞いてもらえないとき、まず疑うのは「曲の出来」だと思います。

しかし、原因が 選んだジャンル のこともある。と私は思っています。

 

同じくらいの実力でも、伸びやすいジャンルと、最初はまず埋もれるジャンルがあります。

 

私は現役でボカロ曲を作りながら、プロセカの楽曲募集に毎月応募して、ボカコレにも参加しています。

 

自分がロックで爆死した、というような失敗談はありません。

ただ、投稿する側として、伸びている曲・埋もれている曲をかなりの数見てきました。

この記事はその観察の話です。

ちなみにボカコレは全ての年ルーキーとTOP100ランキング100までを分析して、その投稿主がどういう形で活動を始めたのか、どう活動して、どう活動を終えたかまでは見ています(ルーキーはランクインしてもやめる人が多いです)。

 

先に結論を書きます。

  • シンプルロック・生バンドサウンドは、最初に狙う場所としてはきつい
  • EDM系・打ち込み系のほうが、最初でも戦える

 

理由は「音で差がつく土俵に立つかどうか」と「世界観を作りやすいかどうか」の2つです。

 

伸びているボカロの共通点は「世界観」

ニコニコの「神話入り」(1000万再生を超えた曲)の一覧を見ると、傾向がはっきりします。

ニコニコ動画のVOCALOID神話入り一覧。マトリョシカ、モザイクロール、初音ミクの消失など、世界観のはっきりした曲が並ぶ

 

一覧は pixiv百科事典「VOCALOID神話入り」から引用しています。

 

曲調はバラバラですが、どれも「この曲だ」と一発で分かります。

歌詞の世界、音の質感、タイトル、それらがひとつの方向を向いている。

 

再生数上位のボカロ曲をまとめた動画も貼っておきます。

並べて聞くと、ジャンルよりも「世界観がくっきりしているか」が共通しているのが分かると思います。

 

 

つまり、伸びる曲は「良い曲」である前に「覚えられる曲」です。

ジャンル選びは、この覚えられる状態を自分の手札で作れるかどうか、という視点で見ていきます。

 

シンプルロック・生バンド系が最初はきつい理由

ここでいうシンプルロックは、生ドラム・生ギター・生ベースのバンドサウンドを、まっすぐ鳴らす方向の曲です。

 

1. 差が「音」で出てしまう

バンドサウンドは、生ドラムの説得力、ギターの録りと歪みの作り込み、バンド全体の一体感で評価が決まります。

 

ここはプロと差が出やすいところです。

打ち込みのドラムが硬い、ギターが平べったい、というだけで「作り慣れていない曲」と一瞬で伝わってしまう。

 

音源とミックスの話は ボカロ曲が伸びない原因は音源かもしれない打ち込みドラム音源のおすすめ に分けて書きましたが、

ドラムとベースの生々しさは、最初にいちばん詰めきれない場所です。

 

正直に言うと、バンドはプロの音だけ聞けばいいかと思います。

わざわざ、ボカロの新人に対して、ロックやバンドを求めないと思います。

まずプロがいて、インディーズでプロを狙う人がいて、さらにボカロがいます。そうすると、新人ボカロの入るスペースがないと言うのが、私のまず主張です。

 

もちろん、新しくボカロを始める人が、高校生のバンド大会で、世界一になりました。ボカロ始めます!とかだったら、大いにやったほうがいいです。

 

2. 曲の数が多い

ボカロのロック帯はとにかく激戦区です。母数が多いぶん、よほど尖っていないと沈みます。ただ、尖りも見せにくいのがこのジャンルです。次に書きます。

 

3. 音像が似通う

これが理由ですが、バンドサウンドは編成が決まっているので、音の作りが横並びになりやすいです。

ほぼバンドといえば、ギターが入り、ギターが入ってしまうとほぼメインがギターになってしまいます。

 

そこから抜けるには、歌詞やメロや構成で「引っかかり」を別に作る必要があって、ハードルが高いです。

 

もちろん、そこそこ伸びているロック系のボカロ曲もあります。

ただ、中を聞くとアレンジも演奏も歌詞世界も作り込みがあってこそです。

「シンプルなロックだから伸びた」わけではなく、「ものすごく作り込んだロックが伸びている」だけです。

最初に張る場所ではない、という話です。

 

DECO*27 が「ロックなのに埋もれない」のは、ジャンルじゃなく一貫性

ここで「でもロックのボカロPで売れてる人いるよね」と思うはずです。

DECO*27さんが代表格でしょう。

 

モザイクロールもゴーストルールも神話入りしています。

 

まず前提ですが、彼はすごいです。

しかし、当時ボカロPが、ブルーオーシャンだったことも理由の一つに挙げられると思います。

 

多分、皆さんもそうですが、反応があれば、今よりも続けられると思います。

私たちは、動画を上げても反応がない。

ポジティブもネガティブも。

 

しかし、DECO*27さんの時代はボカロP自体が少なかったので、フィードバックも非常に多くありました。

もちろんネガティブも含めてですが。

 

ボカロをやめていった人も多いですが、DECO*27さんは成長する機会を得てモノにしていきました。

それは今の状況とは異なる点かと思います。

 

そしてDECO*27さんの曲たちは、生バンドを録ったロックというより、打ち込み主体でスタイリッシュに寄せたロック です。

音の作り方はむしろEDM寄りで、さっき書いた「音で差がつく土俵」からは少し外れています。

 

そしてもう一つ大きいのが、作品を跨いだ一貫性 です。

歌詞のテーマ、言葉の選び方、キャラクターの見せ方が、曲が変わっても「DECO*27さんの曲だ」と分かる。

最近は若い層に刺さる題材と言い回しに寄せていて、届けたい相手がはっきりしています。

 

だから、避けたほうがいいのは「ロックというジャンル」そのものではありません。

生演奏の質で評価が決まる作り方 を選んで、そのうえ 世界観の軸もない、という組み合わせがきついということです。

 

EDM・打ち込み系をすすめる理由

1. 生録りが要らない

EDM系・打ち込み系は、マイクで何かを録る工程がありません。

Logic Proの打ち込み編成の例。ボーカルだけがオーディオトラックで、ギター・ベース・ドラムはソフト音源。マイクで録音したトラックがない

 

演奏力、録音環境、生音のミックス。

プロと差がつくポイントが、まるごと土俵から外れます。

残るのは編曲と音選びで、ここは時間と研究で埋められます。

 

2. 世界観を作りやすい

シンセの音色、SE、リバーブやディレイでの空間の作り方。これらで「その曲の世界」を直接デザインできます。

歌詞のトーンと音の質感を合わせれば、それだけで「らしさ」が立ちます。ジャンルの型に縛られないぶん、世界観に振りやすい。

打ち込みで世界観を立てた例として、MARETU さんの「ダーリン」を貼っておきます。

 

シンセ1台で世界観を組むなら Arturia Pigments(私の常用シンセ)が定番です。

Arturia Pigments を Plugin Boutique で見る →

 

3. ボカロシーンは元々打ち込み文化

ボカロは打ち込みで作られてきた歴史があるので、打ち込みの音に違和感を持たれません。

生っぽさで勝負しなくていいです。

 

ひとつ補足すると、「打ち込みなら音源は何でもいい」わけではありません。

土台になるキックとベースは、良い音源に差し替えると曲の説得力がはっきり変わります(まず変えるべきはドラムとベース)。

 

一方で、上モノのパッドやピアノ、シンセは純正でも意外と気になりません。

Logicの音源だけでどこまでいけるか にその線引きを書いています。

 

「じゃあロックは全部ダメ?」中間ゾーンの話

きれいに二分できるわけではないので、間のジャンルの扱いも書いておきます。

  • ボカロロック(打ち込み・スタイリッシュ系) … OK側です。生バンドを録らないなら「音で差がつく土俵」の問題はクリアできます。DECO*27さんの方向。
  • J-POP風のバンドサウンド(生ドラム・生ギターを狙う) … きつい側です。やりたいなら、まず打ち込みで形にしてから生録りに寄せていくのが安全。
  • 弾き語り・アコースティック・ジャズ・本格オーケストラ … 生音そのものの説得力が要ります。最初の1本で狙うジャンルではありません(やりたい気持ちは止めませんが、後回しでいい)。

判断の基準はシンプルで、今の自分の手札(打ち込み、純正+数個の音源、生録り環境なし)で、世界観まで到達できるジャンルか です。

そこに届くならロック調でも問題ないし、届かないなら別のジャンルで力をつけてから戻ってくればいいと思います。世の中、やりたいことは実力がないとできません。

 

皆様も経験があると思いますが、高校とかで部活に入り、好きなことをさせてもらえないこともあるでしょう。例えば、吹奏楽部に入り、3年生が抜けるまで基礎練で、楽器は一切吹かせないとか。

新入社員でやりたい会社に入ったが、1年は雑用とか。

 

結局、ボカロもやりたくないことをやってレベルアップできるかが重要にも思います。

足りないものを向き合って、上達できるかですかね。

 

実力をつければ、結果もついてくると思います。

 

まとめ

  • 伸びているボカロの共通点はジャンルより 世界観のくっきりさ。「良い曲」より先に「覚えられる曲」。
  • シンプルロック・生バンド系 は、音で差がつくうえに激戦区。最初に狙う場所ではない。
  • ロックのボカロPが伸びている のは、打ち込み主体+テーマの一貫性+届け先の明確さがあるから(DECO*27さんが好例)。ジャンルそのものではない。
  • EDM・打ち込み系 は、生録りが土俵から外れて、世界観に振りやすい。ただし土台のキックとベースの音源だけは差し替える価値がある。
  • 迷ったら「今の手札で世界観まで届くジャンルか」で選ぶ。

 

ジャンルを決めて1曲を最後まで作る流れは まず1曲を完成させるまで、作った後のミックスは ボカロ曲のミックスのやり方、音以外で伸びない要因は ボカロ曲が伸びない にまとめています。

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