ボカロ曲のミックスのやり方|ボーカルが埋もれる原因と、ステム書き出し→2mixの手順

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「ボカロ ミックス やり方」で調べている人に向けて書きます。

 

先に結論を書くと、大事なのは処理の順番を覚えることより、優先順位です。

キックとベース、そしてボーカルを前に出して、他のパートはそこから下げる。

全部を同じ音量にしない。これだけで、ミックスの印象はかなり変わります。

 

私が最初にやっていた失敗がこれでした。

音のバランスというものを知らずに、全部だいたい同じ音量で並べていた。

結果、いちばん聴かせたいボーカルが埋もれていました。「ボーカルが主役」という当たり前の発想が、当時はなかったです。ボカロというぐらいだから、ボーカロイドが主役になるはずですね。

 

この記事では、私がいまボカロ曲を1曲ミックスするときの流れを、頭から書き出しまで通しで書きます。

EQやコンプといった個別の処理は別記事に分けてあるので、そこはリンクで示します。

 

Logicのミキサー全体。トラックごとにフェーダーとパンがバラバラで、キックやベースは前、伴奏は下げてある

 

ミックスに入る前に終わらせておくこと

私はアレンジが完全に終わってからミックスに入ります。

具体的には、調声・ノートのベロシティ・オートメーションを全部書き終えた状態です。

音量の抑揚やフィルターの動きといったオートメーションは、作曲しながら書いてしまうことが多いです。

 

調声が中途半端なまま書き出して、ミックスで何とかしようとして失敗したことがあります(→ VOCALOID6・Synthesizer Vを実際に使った話)。

ベタ打ちのボーカルは、EQやコンプでは自然になりません。

先に歌を詰めておくほうが、後の工程がずっと軽くなります。

 

各トラックのEQ(いらない低域を削る、かぶっている帯域を削る)、軽いコンプ、センドで返すリバーブ、必要なところのサチュレーションも、この段階=アレンジ中に済ませてしまいます。

詳細はそれぞれの記事にあります。

FabFilter Pro-R 2 をセンド用のバスに挿し、複数トラックから送って共有しているリバーブ

 

そもそも音源が弱いと、ミックスでは救えません。

とくにドラムとベースは土台なので、ここが薄いと何をやっても決まりません(→ 最初に変えるべき音源はドラムとベース / 音源のそろえ方 / Logicの音源は純正で足りる?)。

 

ステム(パラ)で書き出す

アレンジができたら、まずプロジェクト全体の音量を下げます。

マスターで -5dB くらいを目安に、天井に余裕を作っておきます。

 

そのうえで、パートごとにまとめて書き出します。

ドラム、ベース、ストリングス、ボーカル……という単位です。

 

どこまで細かく分けるかは曲によります。急いでいるときは8パーツくらい。

ボカコレで上位を本気で狙うときは、20パーツくらいまで個別に分けます(まあ、それでも意味がないぐらい再生数は伸びませんが)。

 

なぜ分けるか。

書き出したステムだけの新しいプロジェクト(2mix)にすると、トラック数が一気に減ってCPUが軽くなりますし、アレンジの続きをいじりたい誘惑が消えて、音量とバランスだけに集中できます。

特にマスタリングで使っている、Ozoneは容量を食うので、分けた方が無難ですね。

 

2mix:音量バランスをつくる

基準にするのはキックとベースです。

この2つで曲の土台を決めて、そこにボーカルを同じくらい前に置きます。

 

残りのパートは、そこから下げていきます。ここで「全部ちゃんと聞こえるように」と均等に上げてしまうと、さっき書いた失敗(ボーカルが埋もれる)に戻ります。

主役以外は一歩下がっていい、くらいの気持ちでいいです。

 

リファレンス曲は基本的に私は使いません。

ただ、はっきり目標にした曲があるときは、その曲を Ozone に読み込んで、自分の2mixと切り替えながら聴いて寄せていきます。

 

2mix:ボーカルを通す

音量を決めたら、ダイナミックEQを使います。ボーカルをトリガー(サイドチェイン)にして、コード系の楽器(シンセ、ギター、パッド)の中域を、ボーカルが鳴っている間だけ少し削ります。

FabFilter Pro-Q 4 をコード楽器のバスに挿し、ボーカルをサイドチェインにして中域が歌の間だけ下がるダイナミックEQ

 

こうすると、常時EQで削るより自然に、歌のところだけ場所が空きます。

歌っていない間は元の音のままなので、伴奏が痩せません。

 

ボーカルは平坦にしないようにします。

コンプで整えつつ、抑揚(ダイナミクス)は残す。ボカロは放っておくと音量が一定になりやすいので、そこは意識して大小を作ります。

方向としては、リアルな質感に寄せつつ、ボカロらしさ(人の声にはない滑らかさ)は殺さない、というバランスを狙っています。

 

2mix:ステレオと全体の仕上げ

Imager で左右を広げます。

打ち込みの曲は似たような音が真ん中に溜まりやすいので、広げる帯域を決めて左右に散らすと抜けがよくなります。

低域は広げず真ん中に置いたままにします。

iZotope Ozone 11 の Imager。低い帯域はステレオを広げず、中高域だけ左右に広げている

 

最後に全体のバランスを取り直して、iZotope Ozone(私は Advanced)で仕上げます。

音圧まわりの詳しい話は別記事にあります(→ マキシマイザーは初心者ボカロPに必要?)。

 

音圧が上がらないと感じるときは、たいていこのマスターより手前が悪いです。

音量バランスとボーカルの通りに原因があります。

 

チェックと追い込み

書き出したら、いろいろな環境で聴きます。

私はPCのスピーカー → iPhone → AirPods の順で聴いて、気になったところを直して、また書き出す。

これを繰り返します。

 

直しは -1dB 単位くらいの細かい調整になります。1回で決めようとしなくていいです。

 

時間の目安です。普段の曲でも2mixに3日くらい。

ボカコレなど本気の曲は、2mixだけで1週間かけることもあります。

ボカロPとかの記事を見ると、やはり車でかけたりとか。散歩中の曲のプレイリストに混ぜたりとか、色々やり方はあるようですね。

 

まとめ

  • 順番を暗記するより、優先順位。キック・ベース・ボーカルを前に出して、他はそこから下げる。全部均等にしない。
  • 個別の処理(EQ・コンプ・リバーブ・サチュ)はアレンジ中に済ませて、2mixでは音量バランスとボーカルの通りに集中する。
  • ステムに書き出すと、集中できて速い。急ぎは8パーツ、本気は20パーツ。
  • 最後は複数の環境で聴いて、細かく追い込む。1回で決まらなくていい。

 

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